今すぐには役に立たないムダ知識に救われる

こちらの本で紹介されている、死海文書だとか、ヴォイニッチ手稿だとか、ロゼッタストーンだとかの話は、普通に日常生活を送っていたら本当にまじで必要のないムダ知識だと思うんです。だけど、そんなムダ知識をたくさん抱え込むと、今の自分の視点をボールみたいにポーンと遠くに投げられるんですよ。紹介されている本を1冊実際に手に取ってみることももちろんおすすめなんですが、本の紹介文を読んでいるだけでも、地球の果てから果てまでを何往復も連れまわされている気分になれます。

私がこちらで紹介されている100冊のなかからマイベストを選ぶとしたら、定番ですがジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』ですかね。これ、読むのに徹夜したんですよ。

世界は広い。歴史は長い。25mサイズのプールだと思っていたものが実は海だったと知ったとき、一瞬足元がふらつくような感覚を覚えますが、その眩暈はとても心地いいものです。私たちの生きている世界は、こんなにも面白かったのか!詐欺だ!……と気が付いたら、きっとひとりでいる時間は今までの何倍も楽しくなるんじゃないかな。

ちなみにこの『面白い本』、以前私の部屋に遊びに来た彼氏が、本棚から引っ張り出して私の話をまるで聞かずに読みふけっておりました。みなさんも、本の魅力に負けないで。あと、「のぞみ」と「こだま」のちがいに注意です。

Text/チェコ好き

※2015年10月22日に「SOLO」で掲載しました