運命のような、使命感のような、手招きされる場所がある

「インドには、呼ばれる人と呼ばれない人がいる」と三島由紀夫は言ったらしい。私が今回インドに入国するのは、5回目……あれ? 結構呼ばれてるな。しかし、この言葉はたしかにしっくりくる。呼ばれていないときにインドについて調べていてもいまいちピンと来ないのに、なぜかある日突然どうしても行きたくなってしまう。その度に、私は「ああ、呼ばれているんだな」と思うのだ。

インドだけではなく、他の場所も当てはまる気がする。前々から行きたいと思っていた場所を調べてみても、呼ばれていなければ乗り気になれない。魅力があることも知っているし、行きたい気持ちもある。でも、なぜかテンションが上がっていかない。しかし、なぜかある日突然「私はこの場所に行かねばならない」という謎の使命感に導かれるときがある。宗教臭くなってしまったが、その運命のような使命感のようなものを感じると、私はいつもいい旅行ができているように思う。まあ、毎回楽しいし満足しているし、その国に対する愛情を120%にして帰国するのだが。

今回は、どうなるんだろう。観光地化していないところなので、あまり情報もなく、少々不安だ。お腹は壊すのかな、やっぱり怖いかもしれない。でもすごく人も穏やかで、いい場所らしい。

インドが私を呼んでいる、気がする。私は何をしたくてこんな僻地にまで足を運ぶのだろうか? 休みの度にふらふらして、一体いつまで許されるのだろう? そんなことを考えないこともないが、手招きで呼ばれている気がするので仕方がない。

明日も仕事だ。ワクワクを支えにして、残りの2019年を乗り切っていく。

Text/あたそ

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