3年たてば人は変わる。憧れていた彼女が仕事をやめてしまった

不思議と繋がっていた友人が東京に帰ってくる

山を望む湖のほとりで座る2人の金髪の女性の後姿の画像 Roberto Nickson

「4月から、東京で働くことが決まったの」と彼女から連絡がきたのは、つい最近のことだった。私が以前勤めていた品川付近の会社に事務職の契約社員として内定をもらったらしく、「あそこのランチが美味しい」「品川付近はあまりいい居酒屋がない」といったような話をして、4月を過ぎて落ち着いたら一緒に飲もうという約束をした。

高校生の頃からずっと憧れ続けていたという夢を本当に叶えた彼女は、「仕事が生きがいで、今が一番楽しい」とはっきり言うような人だった。自分のやりたいことを見つけて、それに向かって努力をし、本当に叶えてしまう彼女が、私にはとてもキラキラして見えたのを未だによく覚えている。

そんな彼女とは、大学生の頃に音楽を通じて知り合って、たまに連絡を取って一緒に飲んだり、フェスや好きなアーティストのライブで会ったりするような仲だった。「親友」と呼べるくらいの距離ではなかったし、お互いに知らない一面なんてたくさんあるのだろうと思う。「仲がいい」と確信をもって言えるのかと聞かれると、少し悩む。それくらいの間柄だ。
でも、久しぶりに会えば、今まで会わなかった時間が嘘みたいに色々な話が飛び出し、笑いも絶えない。しゃべり過ぎたってくらい話をしたはずなのに、駅で別れてひとりになると、「あの話をすればよかったな」「今悩んでいることを相談してみればよかった」と、もっと話をしなければならなかったことが頭に浮かんでくる。

よく分からない関係だったから、彼女の福岡への転勤が決まったときは、「ああ。もう会わなくなってしまうのかもしれないな」と思った。
ずっと東京に住んでいた彼女には、私よりも大切な人が沢山いるはずで、盆と正月、それから少し長い休みをとってこっちに戻ってきたとしても、私の優先度はきっとそれほど高くはない。たぶん、47位くらい。だから、この3年くらい、なんとなくの関係性が継続していることが不思議だった。
東京にいるときよりも、連絡も取らなくなったし、会う頻度も少なくなっていったけど、「東京で働く」という報告を受けてから、またあの不思議な関係に戻れるような気がして、嬉しかった。