わざわざ言わない理由
それは、そもそも他人の人生に口を出すのもいかがなものかと思うし、わたしの言葉がきっかけで彼女が決別を決めたとて、それが上手い方向に作用する保証がない以上は責任を負いたくないというものあるし、なんだかんだ誤魔化しつつもバランスを取って楽しくはやっているところに水を差してもねという気持ちもある。
だいたい恋愛で盛り上がっている時なんて、相手のいいところしか見れない人のほうが多いわけで、「自分の男を侮辱した」とムカッとこられてこちらに刃が向かってきても嫌だし。これが言わぬが花ということか! しかし、きっとわたしも誰かに散々同じ思いをさせてきたんだろうな。
Text/大泉りか
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