私の思想やプライベートを明け渡していない
「最近の日記は、どれだけ面白いことを言えるのか？どれだけプライベートを明け渡すのか？の勝負になっている」という発言を見かけて、そういえば、私もそんなことを人からよく言われ続けてきたなというのを思い出す。
今は本が売れない割に同人誌界隈が盛り上がっているらしい。自分の活動を振り返ってみてもそんな気がする。昔、私のことを嫌いな人から「こんな文章、誰だって書けるだろ」と言われたことがある。特にショックを受けることもなかった。だって、文章を書くって本当に誰でもできる気軽な創作活動で、エッセイや日記なんてその最たる例なんだと思う。だからこそ、文章を書く行為そのものが、あまり大切にされていないようにも思うけれど。誰にだってできるものだから。
その無数の文章のなかから頭ひとつ抜けていくには、何か目立つことをしなければならなくて、その行きつく先が、何か面白いことを言う/プライベートを明け透けに書く、の2択になっているのだと思う。私にはもの書きの友人知人がほとんどいないし、エッセイや日記も読まないのでただの想像といえばそうだけど、まったく見知らぬ他人の文章に対してどこに価値を見出し、何を売り出していくか？を考えれば、そうなってしまうのは仕方ない気がする。あとは性的な話とかマッチングアプリとか、人の目の引く話題をチョイスする。そのあたりが関の山なのではないでしょうか。
私もエッセイや日記を出すたびに、「そこまで書くんだ」と言われるのだけれど、自分の生活を振り返ってみてもごく一部しか書いていないから、腑に落ちないし、よくわからないでいる。相手もそこからコミュニケーションを発展させる気がないように見えるので単純に他に褒めるべき点がなかったのかもしれない。
でも、私は自分のなかで書かないことの線引きはある。だから「そこまで」って一体どこまでのことを指すのかわからない。そもそも、エッセイってそういうものなのでは……きちんと順序立てて書いていかないと、文章として成り立たないわけで……など、色々考えてしまう。
いつどこで誰が読んでいるのか、気にしていないし気にしない。読んだ人が何を思うのか？も考えたところで意味はないので、できるだけ思考の端の寄せておく。「この人から嫌われるのが怖い」と思い始めるとうまい付き合いができなくなってしまうように、人からどう思われるのか気にしたり、自分をよく見せようとする文章はすぐに見破られてしまうのだと思う。
そうなると、見つめる先は自分しかいなくなって、「そこまで書くんだ」に行きつくのではないか？というのが個人的な見解です。文章にできるのって自分の考えていることのほんのごく一部で、私のプライベートも思想も誰にも明け渡していないですよ。
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