フジロックに立つsyrup16gを見ていたときは自分の人生をほんの少しだけ肯定できていた

音楽とインターネットがあったから

少し前に、フジロックのWHITE STAGEに立つsyrup16g(以下:シロップ)を見てきた。

もう毎年恒例のレポートをしているフジロック。だから、シロップが出なかったとしても見に行っていただろうし、同じくらい充実した3日間を過ごすことができたと思う。もともと好きだし。もう2週間ほど経過しているけれど、それでもまだ思い出す。それから、「生きていてよかったな」と思いながら、相変わらずシロップの音楽を聴いている自分がいる。

自分の人生を振り返ると、音楽とインターネットがなければ、本当にどこかのタイミングで死んでいてもおかしくはなかったと思う。家族とも仲が悪く、学校に行ってもいじめられていて、どこにも居場所がなかった。

あの頃の楽しみといえば、音楽を聴くことやスペースシャワーTV、テレビ神奈川のミュートマJAPANで好きなバンドのミュージックビデオを見漁ることだった。あとは深夜遅くまでパソコンで2ちゃんねるやニコニコ動画を眺めていた。当時はまだYouTubeも主流ではなく、携帯電話もパケ放題が出始めた頃だったように思う。ネットですら遅いのに、あのガビガビの画面で動画なんか見られるはずがなかった。

リビングにはあまり寄りつかず、自分の部屋で過ごす時間も多かった。そのときにずっと聴いていたのがシロップで、自分の内側に広がる不安や恐怖、希死念慮を肯定してくれるのもシロップだった。ライブにも何度も足を運んだ。

あの頃のシロップボーカル・五十嵐はライブをやるのもしんどそうで、会場にいる誰のことも信じられないように見えた。ふっとどこかに消えてしまいそうだった。でも別にファンができることは何もないので、時折発表されるライブにはできるだけ見に行くようにした。