第6回:『やまとなでしこ』は女のしたたかさを肯定する救済ドラマ?

「愛は年収」と言い切った異色の恋愛ドラマ

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 みんな、どう? 最近、玉の輿に乗ってる?

 こんにちは、先週をもって「モテ系リア充ライター」の肩書きを返上した福田フクスケです(歯をくいしばりながら)!
さて、今週も往年の恋愛ドラマをあえて見直し、勝手に深読みしていきましょう。

 今回のテーマは、松嶋菜々子演じる、お金持ちとの結婚に執着する主人公の強烈なキャラクターが話題を呼んだ、1999年の月9ドラマ『やまとなでしこ』です。
 このドラマの主人公は、類まれなる美貌を持ち、教養があって仕事もこなせるフライトアテンダント・神野桜子(松嶋菜々子)。  
 一見、非の打ち所のない彼女ですが、幼少期の極貧体験がトラウマになっているせいで、 “この世で一番嫌いなものは貧乏。女を幸せにしてくれるのはお金だけ” という極端な考え方を持つ歪んだ性格になってしまいました。

 彼女は、大金持ちの男性との玉の輿結婚を夢見て、夜な夜な合コンの鬼と化します。 大病院の御曹司・東十条司(東幹久)を一応の本命として付き合っているものの、「結婚の前日まで、よりよい条件の男を探し続ける」と明言。 徹底した打算と周到な演出で、狙った男性を確実に落とすことに余念がありません。

強烈な「桜子語録」の数々に男はビビった!

 このドラマの見どころは、そんな桜子の恋愛観・結婚観を表わす、あけすけすぎるセリフの数々。

「借金まみれのハンサム男と裕福な豚男、どっちが結婚して女を幸せにしてくれると思いますか?」
「心なんて綺麗事言ってたら、一生貧乏から抜け出せない。貧乏人を幸せにしてくれるのはお金、お金だけ」
「女が最高値で売れるのは27。私の統計では27歳が売り時のピークなの。それを越えたら値崩れを起こすわ」
「結婚式の披露宴は最も成功率の高い合コンよ」
「マンションで男が釣れる? 洋服、洋服よ! 洋服が最大にして最良の武器なの」

 ドラマの主人公は、誰からも愛されて、共感を得られる人物造形にするべし。
ひと昔前のシナリオ教則本にはそう書いてあったものですが、桜子の強烈なキャラクターは、それとは真逆の憎まれ役。口が裂けても「共感できるー!」とは大きな声で言えないようなキャラクターです。

 にもかかわらず、このドラマは月9ドラマ枠で久々の視聴率30%超えを果たすヒット作となりました。ひょっとして、世の女性たちの本音って、みんなこんなだったの……!?