鳥が死んだらどうしよう。病気はこんなにも人を不安にさせ、意識を変える

ここ最近の私といえば、毎週のように通院をしていた。半年ほど前に行った健康診断に引っかかって血液検査やエコー検査をしたのも、銀歯が取れたので付け直したのも、下の親知らずを抜かなければならなくなったのも、なぜこのタイミングで……! とは思わなくはないけれど、まあ別にいい。死ぬわけではないし。

しかし、やはり私は女性器官が弱いのか、半年以上不正出血に再度悩まされていた。生理と不正出血を含めると、1か月の間で3週間は出血が止まらず、なんでこんな状態で普通に生活できるんだ……? と不思議に思うほどだった。貧血になったり体調を崩すこともなかったので、人体は神秘的である。
あれだけ嫌いで二度と行かないと心に誓っていた婦人科に行くのも、もう慣れた。婦人科 or DIEだとしても死を選ぶ……と思っていたけれど、長生きする鳥の飼育を始めてしまったし、直近でやるべきことはたくさんある。別にいつ死んだっていいけれど、そうも言っていられないのが現実で、いろんなものを女性器に突っ込まれる。本当に苦痛すぎるし屈辱的ではあるが、なんとか耐えるしかない。

まあ、でも生理痛緩和のために服薬している低用量ピルが体質に合わないだけだろうと思っていたし、最悪の場合は子宮頸がんとか悪性の子宮筋腫辺りなんだろうか。大げさではあるが、「死」の文字が頭をサッとよぎる。別に今すぐではなくとも、なんか婦人科系の病気で死にそうではある。結局のところ、何か問題があるわけではなく、低用量ピルの種類を変更して様子を見てみましょうということで落ち着いているのだが。今は、このピルの副作用なのか日中はひどく眠いし足はむくみまくっている。なぜこんな思いをしなければならないのか……なかなかにしんどい。

鳥が死ぬ?考えただけで…

自分だけの通院だったらまだよかった。更には鳥も調子が悪そうにしている。普段は食欲旺盛でピーナッツやクルミ、かぼちゃの種を食べないだなんてあり得ない。私が仕事をしている際は、常に何かしら喋ったり、歌ったりしている。それなのに、ケージの中から出て来なくなり、ご飯もほとんど食べない。歌ったり話したりもしない。羽が抜け替わる時期だからだろうか? ただの風邪とかだったりするんだろうか?
そうは思っていても鳥は自身の身体に何が起きているか教えてくれないので、かかりつけの病院まですっ飛ばしていくと「治療法のないウイルスに感染しているかも」と言われて、卒倒しかける。即検査入院となった。そもそも鳥の病気に関しては、最近発見されたものも多く、ワクチンがないもの・感染経路がいまいちはっきりしないものもかなりある。仮にそのウイルスに感染していたとしたら、寛解もあるけど治療法が合わずに死んでしまうこともあるようだ。鳥が死ぬ……? 考えるだけで胃が痛くなる。

自分が何か重い病気にかかるなら、まだいいが、鳥が死んだらどうしたらいいんだろう。たかがペットではあるが、自分のなかでの鳥の優先順位の高さに驚きつつ、心配しすぎて食欲もわかず、夜も眠れなくなり、ひたすらに英語の論文を見漁っていたのだった。
結局こちらも何もなくて、今は朝夕の薬を飲ませる必要はあるものの、出したご飯はすべて平らげるし、ソーラン節や戸川純の『好き好き大好き』を歌ってくれるようになった。

そういう訳で、今月の治療費がとんでもないことになり、私の給与の半分以上を占めることになったのだが、本当に何もなくてよかった……! と日々、健康に対して感謝をしているところである。

自分も鳥も何かしらの病気の疑いがあり、なんだか人生がどうでもよくなってしまった瞬間が多々あった。鳥がいなくなったら、私はまたひとりになってしまう。生きていても意味がないのではないか? 今後、何を支えに生きていけばいいのか? 別に死んだっていいんじゃないか? 何を楽しみにして、生きていけばいいんだろう? 自分自身の終焉ばかりをグルグル考えていた。
元々、希死念慮が酷かったけれど、年齢を重ねてあらゆることがどうでもなってきたからなのか、自分に対する失望への付き合い方がわかってきたと思っていた。けれど、病気はこんなにも人を不安にさせ、意識を変容させるというのは今回割と大きな勉強になったことのひとつではある。