仕事をしながら、よく音楽を聴いている。もともとそんなにルールのない会社なので、出社しているときも在宅のときも、暇さえあれば何かしらの音楽を聴いている気がする。
なんとなくシャッフルで音楽を流していると、toeの『グッドバイ』のイントロが聴こえてくる。そういえば、私がtoeを知ったのは中学生の頃で、「なんでこの人たち全然歌わないんだろう?」と思った記憶が蘇ってくる。
ご存知のない方に説明すると、インストバンドなんですよ。ちなみにドラムの柏倉さんはthe HIATUSのメンバーだったり、他のメンバーも内装デザインやレコーディングエンジニアなどをしているので、何かしらで知っている方も多いはず。演奏が本当に上手くて、私が今まで見聴きしてきた音楽と同じものだったのか? と思うくらい。繊細でありながらアグレッシブで、いつも胸を打たれる。私の好きなバンドのひとつです。
好きな音楽を共有した友達がいた
横浜の住宅街、不良ばかりの中学校で過ごしていた当時は、バンド音楽を聴いている人なんて全然いなかったし、やっぱり私はずっと浮いていた。いじめられたことや無視されたことも1度や2度だけではない。だからなのか、今も付き合いのある友達はいないし、同窓会に出席することも呼ばれることもきっとないのだと思う。残念な話ではあるけれど。
そんななか、お互いに好きになった音楽を紹介し合う友達がひとりだけいた。その子とはアジカンやバンプ、ストレイテナー、銀杏BOYZの話を毎日のようにし、ロッキンオンやB-PASSを回し読みする。クラスは違えと、手紙交換や交換日記も当然していた。自分の好きなこと、趣味の話をできる人が誰もいなかったからこそ、私にとってこの時間は大切で、心から楽しいと思える貴重なものだった。その子にtoeの『new sentimentality e.p.』を借り、MDに落として何度も何度も繰り返し聴いていた。私はマセた中学生だった。
その子がいなかったら、今の私はいないと思う。今もずっと音楽が好きで、生活の一部になっていて、仲のいい友だちとの共通言語もほとんど音楽で。あの中学時代がなければ、私はこんなに音楽に夢中になっていなかったように思う。
更に言えば、インターネットで友達を作り始めたのも、ブログやmixiにありえないくらい長い文章を投稿するようになったのも、誰かと好きな音楽の話をしたくてたまらなかったからだ。もし、音楽を好きになっていなかったら、こうしてAMで文章を書くことも本を出すこともなかっただろうし、知り合える人も全然違っていたと思う。自分のアイデンティティを見つけられなくて、もっと歪んだ性格になっていたかも。そう思うと、少し怖い。
- 1
- 2