ホテルにSPAが入ってる!

というわけでまずは荷物を降ろそうとホテルに。ホテルといっても一棟まるまるではなく、1フロアのみがホテルで、他の階は別のテナントが入っている巨大な雑居ビルだったのですが、一階にSPAの文字が。えっ、SPAがあるの! サウナとかあっちゃったりするの? 台湾の健康ランドは男性専用のところばかりで、実質女性が入れるのは2店舗しかないことは、事前のリサーチでわかっていたものの、もしかして新しく出来たばっかりで、まだ情報が出回っていないのかも……と試しにドアを開けて受付の女性に「メンズオンリー? ウーマンオッケー?」と尋ねたものの、眉を顰められただけ。態度悪いなーと思いながら、すぐそばにあった下り階段から下の階を見下ろせば、「夢の都」と「胡蝶妃」というナイトクラブ。これは……と思っていたところ、今回の同行者の女友達がスマホで調べたらしく「嬢の態度がよくないです、ってレビュー書かれているから、このSPA、実質風俗ですね!」と。

「完全にヤバいビルだ」と確信した瞬間

なんだか治安の悪いビルだなぁと思いながらエレベーターに乗り込むと、マリファナのイラスト付きのドラッグ持ち込み禁止のポスター、その横にはビルの5階に入っている蟹鍋屋のメニューが張ってあるけど、一鍋五万円からの超高級店。完全にヤバいビルだという予感が確信に変わったのは、部屋に入った瞬間でした。ツインの部屋ですが、ベッドがそれぞれキングサイズ。椅子もテーブルもないのに、ただただひたすらにデカいベッドだけがある部屋。さらにいうと風呂もデカい。下のナイトクラブから連れ出した女と4Pとか、乱交とかする部屋なのではないでしょうか。まぁ別に寝られさえすればいいんだけども……と思っているわたしの横で女友達が、即座にチェーンロックを掛けている。頼りになる。

その夜は、ローカルの羊鍋屋やら夜市の露天やら路上のコンビニ前に止まっているパトカーをつまみにワインを飲むなど、真夜中すぎまで飲んでベロベロでホテルに戻り、再びチェーンロックを掛けて就寝し、無事に朝を迎えることが出来たし、結果、なんとなくの旅のアクセントになったけれど、あの部屋はこれまで、いったいどういう使われ方をしてきたのか、知りたくて仕方ありません。知ったら知ったで後悔しそうですが。

Text/大泉りか