人生の「減る」フェーズも楽しそう
さて、転職、無職、フリーランスなどの話題には、いつも「お金」の話が付きまとう。稲垣さんは退職を経て収入が不安定な立場となり、そこで逆に「お金がないと不幸」という考えから脱却することができた。しかし私の場合はどうか。むしろ、20代の頃は「お金がなくても幸せ」と思っていたが、年齢を重ねるにつれ「やっぱりお金はある程度ないとダメなんじゃないか」という価値観が強くなってきた気がする。というか、30〜40代ってお金によって得られるものが人生でいちばん多い気がするので、私がそう考えるようになったのも無理はないと思う。
が、そこで、50〜60代でもう一度20代くらいの価値観に戻れたら幸せだろうな、と私は本書を読んで感じた。私たちの世代は今、パートナーを得て、子供を産み、収入をどんどん上げ……と何かと「増やす」フェーズにいるが、パートナーはいずれ死ぬし、子供は家を出て行くし、収入はどこかで下降し始める。「減る」フェーズはネガティブに捉えられることも少なくないけれど、私はもともとの性格もあってか、この「減る」フェーズを今からけっこう楽しみにしているのだ。
「減る」フェーズが楽しいってどういうこと? と疑問に思う人は本書を読むとそれが少しわかるかもしれないし、私と同じタイプの人は本書を読むと、ますますその確信が強まるはずである。
Text/チェコ好き(和田真里奈)
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