「若いときはそれでもいいんだけどね」が突き刺さる

20代前半の学生とカフェでお喋りしたり、ソローの本を読んだりして「若いときはそれでもいいんだけどね」などと言っていると、その言葉はブーメランとなって自分に突き刺さる。私は……というか人間は、生きていれば老いていく一方で、若返ることは決してないからだ。今は「これで大丈夫」と思っていても、年齢を重ねたら無理になることだってきっとあるのだろう。

ただし、だからといって「大多数が身を置いている場所にとりあえず自分も進んでおこう」と考えるのはやっぱり間違いだと思う。自分の考えや感性の中で、将来どの部分が変わってしまうか、どの部分なら変わることはないか。それは、ソローのように森の中の湖のほとりで誰とも会わずに生活するところまでいかなくとも、ある程度は「ひとり」でないと考え抜けないことだ。

本書で私にいちばん響いたのは名言12の「人生の闇の森に迷えばいい。そこから自分自身を発見しはじめる」のところ。これからも自分の中でさまざまな考えや感性が変わっていくのだろうけど、ソローの本を読むと、大切なのは「迷わない」ことではなく、「迷っても大丈夫なようにコンパスを持つこと」なんだろうなと実感できる。

Text/チェコ好き(和田真里奈)