性欲丸出しでもいいんじゃない?

『チャタレー夫人の恋人』で通底しているのは、「性」、それも女性の性欲の強い肯定である。確かに性欲は公共の場で披露するようなものではないけれど、限られた範囲内で、他者を傷つけずに楽しむぶんには、そんなに気持ち悪がらなくてもいいんじゃないかなと私は思う。つまり最初の話に戻ると、「おばさんが性欲丸出しでも別にいいんじゃない?」というのが私の反論になる。むしろ、性欲をマンガや小説を創作することで昇華しているなんて、とても健全ではないだろうか。コミュニティの中で新しい友達もできるし、楽しいし、(人によるけど)そんなにお金もかからないし。また、『チャタレー夫人の恋人』が濃厚な性描写を含みつつもそれだけの作品ではないように、攻めと受けの絡みがある作品だからといって、単なるポルノでは終わらないマンガや小説だって私はたくさん知っている。

読み進めていくとわかるが、『チャタレー夫人の恋人』は100年ほど前に書かれた作品であるにも関わらず、家父長制の抑圧から解放されようともがく主人公・コニーの姿は現代でもまったく古くない。恋愛小説としてもかなり読みやすいので、古典が苦手な人も騙されたと思って挑戦してみてほしい。とりあえず、私は数々の描写の美しさに感動したので、このエッセンスを自分の創作の中に取り入れるべく、あと3回くらいは読もうと思っている。

Text/チェコ好き(和田真里奈)