本当に自分のため？「そういう服装は男ウケ悪い」と言われたら／峰なゆか

じゃあ結局何のためにその服を着るの？

女の装いは男ウケのためというよりまず、変質者に狙われないような服装で、でもいざ事件が起こった時に服装を理由にセカンドレイプされるほどではなく、その日の気候、自分の好み、着心地、季節感、場の雰囲気、自分が好意を持っている人に好意を持たれるためのものだ。少なくとも決してお前のためじゃない。

なので「男ウケのためじゃなかったらじゃあ何のために服を着ているんだ！？」と聞かれたら回答が複雑になってしまうのだけど、そんな質問をしてくるようなヤツにイチから説明しても理解してもらえる気はしないし話が長くなってめんどくさいので、女たちは「自分のため」と小さい嘘をついて男を黙らせる。

そこまでアホじゃない人たちはその小さい嘘に違和感を感じているんだろう。でもイチから説明するのはマジでめんどくさいのでこれくらいの小さな嘘はどうか見逃してほしい。

私が本気で「自分のため」に装うことは滅多にない。例えば着心地の良いパジャマ、デートの予定のない日に身につけるかわいい下着、仕事のやる気が全く出ない時に家から一歩も出る予定がないのにするメイクやネイル、キャンドルの明かりの中のお風呂と、寝る前につける香水、効いてんだか効いてないんだかわかんない大量のスキンケア、生理中の快適度が段違いになるVIO脱毛くらいでしょうか。

本気の「自分のため」は滅多にないぶん、大切にしたいし、味わい尽くしたい。

その幸せな空間では「それって男ウケ悪いよ？」マンは別次元の存在、亡きものとなるのです。