配慮の気持ちをもって接していきたい

仕事ができない私が言ったところで説得力はまるでないが、やっぱり仕事ができないって大した問題ではないと思う。たったそれだけの理由で、怒鳴ったり冷たい態度を取ったり、いじめのようなことをする理由にはならない。

でも、人は変わる。余裕のないとき、焦っているとき、思い通りにならないとき、その人の本性が見える。立場が上になると、仕事のできない人の気持ちがわからなくなることも、自分が他の人よりも偉い存在になれたかのような錯覚に陥ることもある。部下が年下なら、尚更なのかもしれない。相手が仕事の都合上気を遣ってくれ、不利益のないように振る舞っていることにも気が付けない。人に気を遣われるのが常になると、どんどん悪い方向へと自分の内面が変化していってしまうのではないか。若い頃は「こんな人になりたくないな」と思っていた人格に、どんどん近づいてしまうのではないか。

あれだけ仲が良く、プライベートの話を含めてなんでも話せるような仲だったのに、今はなんでもない雑談にも冗談にも笑えなくなってしまった。すべてがくだらなくて、つまらないものになってしまった。変わらない人なんていない、それは私もきっとそうだ。もし、私が嫌な人間になってしまったら? それが怖い。

自分の好きではない方向へ向かってしまった人に対して、私はどんな風に接していけばいいのだろう。何が正しくて、軌道修正ができるのだろう。私は、常に他者に対して配慮の気持ちを持っていたい。これは、働き続けるうえでのひとつの目標になりつつある。

Text/あたそ

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