ブランド物は麻薬だ!お買い物が大好きな女の子への憧れとジェラシー

私は買い物が大の苦手だ。
昔は買い物をすると生きている実感が得られるので好きだったのだが、気が付くと大嫌いになってしまった。買い物で何度も失敗をしてきたからだ。

”女の子”になることに憧れだした頃に、「ちょっとセンスのいい女の子はこーゆーものを身に付けているべきだ」と思ってジルサンダーやマルニなどのブランド物を頑張って買っていた。

初めて買ったのはマルニのショルダーバッグだ。楽天の並行輸入でお得だった。
届いたら届いたで浮かれたのだがなんだか大事にできない気がしてしまった。
意外とファスナーの品質が悪いことに気付き(偽物だったのかもしれない)、やや萎える。でも、ブランドのロゴが刻まれたバッグを肩から下げる快感は一言では言い表せられないものだった。何かが満たされる気がしたし、ワンランクどころかセブンランクくらいなんか上がったような気すらした。コーフンしたのだ。
にもかかわらず次第に外へ持ち出す頻度が減っていき、ついには売ってしまった。興奮している自分の姿やその心が急に愚かに思えてしまったのである。

いくらネットで並行輸入品を買った方がお得だからといって、楽天などでお高いブランド物のバッグや洋服を買うのはやはりみっともない。やっぱりお店で現物を見て、店員と直接会計のやりとりを経て自分のものにするべきだ!
それこそが買い物だし、ブランド物であるという価値だ!
そういうわけで1度目の買い物の失敗から「お店で買うべし」ということを学んだのだった。

店舗で「慣れてる感」を出す方法

次に何を買ったかといえばLU█NEを卒業したい女の子の憧れ、ジルサンダーの服である。
手が届かないくらいクソ高いジル。さすがにちょっと稼いだくらいでは薄手のトップスすら私のお財布では買えない。
そこで救世主現る、御殿場プレミアムアウトレットである。意外なブランドが実はあそこにお店を構えているのだ。(マルジェラとか……)
アウトレットではあるものの店舗は店舗。店員もちゃんといるし、70%割り引かれていても普通に高い。買う価値が存分にある。実家からアウトレットまでは車で30分程度なので、向こうに住んでいた頃は3ヶ月に一度の頻度でよく通っていた。

まずお店に入る。
「私、このブランド好きなんですよ、初めて入ったんじゃありませんよ」
という表情をしつつ、大股でゆっくりと歩きながらちょちょいと服を見る。手に取る。鏡の前で合わせる。このとき、まだ値札は見てはいけない。
「私、ここのブランドの価格帯おおよそわかっておりますよ、高いの知ってますよ、でも気にしませんよ、だって買えますから」
“買えますから”……それを店員にアピールしなければならない。決して冷やかしではないし、低所得者でもないことを伝えるには値札を見ないことだ。じゃあ値札を見るタイミングはといえば、それは手に取った服をじっくりと眺めて、裁縫とか生地感とか何も知識ないけど知識ある風によくチェックして、それからゆっくりと服の中に手を伸ばし値段を確認するのだ。このときも注意がいる。

「私、この服気になるんです、値段によっては買おうかなと思ってるんです、でも素材とかそういうのも気にするタイプなんです、むしろ値段よりもそっちなんですよね」
あくまでも重視しているのは値段ではなくて素材であるということをアピらなくてはならない。高いか安いかなんてそんなのは問題ではない。
クリーニング代がめっちゃ高いようなめんどくさいやつだったらなんか……イヤじゃん!(そもそも高い服買う人はクリーニング代のことなど気にするわけがないのですが)

もっと早いだろうが店員が声をかけてくるのはだいたいこのタイミングだろう。値札を見ている姿を見られるのは恥だが、気にする必要は全くない。だって確認しているのは素材とかそっちの方なのだから。
店員はおそらくこう言うだろう、「ご試着もできますので」……このとき遠慮なんかしてはいけない。だって客だから。しかも買う気のある客である。
「店員さん、私、ここのブランド好きなんですよ。金、あるんですよ。今日、買うつもりで来たんですよ。立派な”客”なんですよ。そりゃあ試着くらいして当然ですよね……だって気に入ったら買うんですから」
待ってましたと言わんばかりに店員さんに「じゃあこれ着てみたいんですけど」と答える。このときのポイントは伏し目がちであることだ。”慣れてる感”を出すには今はまだ店員と目を合わせるには早すぎる……

中略

そしてついにレジで会計をする。10万円とかクソみたいな桁の数字でもビビってはならない。
「私、ぶっちゃけ金持ってるんスよね……」
ということを店員にアピるためにもやはりここでは伏し目がちにカードを差し出し受け取りたい。スムーズに。手が震えないように。声も聞き取れないくらい小さいくらいがベストだ。
そして最後、お見送りである。これが重要だ。「店員さん、ほら私、本当に買ったでしょう?」
ここでついに店員の顔を正面から向き合って、相手の目をきっちりと見て感謝の意を伝えるのである
満面の笑顔でもいいし、微笑みでもいいし、伏し目がちでもいい。
本当に買ったでしょということを全力でアピるのにここで小賢しい真似は必要ないのである。堂々と痛くあれ!

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