たまには臆病な自分を忘れて!セックスは生涯続くアドベンチャーよ

「これでアソコも暖めて!」

 新居に引越して、やっと片付けも済んで、夏の終わりにハウスワーミングを開催したところ、友人から素敵なモノをもらった。
普通、新居を祝うためのパーティに持っていくギフトは新生活で使えそうな日常用品だが、たまにユーモアを忘れない友人がいたりする。
「パーティが終わるまで開けちゃダメだよ!」と忠告されたので、みんなが帰ってからキラキラにラッピングされたプレゼントを手に取った。

Tomy 恋愛 キャシー

 包装を破って中を見ると、予想通りおもちゃだった。こどものおもちゃではなく、おとなのおもちゃ。
興味津々な彼氏が見てる横で、パッケージから取り出すと漆黒のバイブレーターだった。大きくはないが、小さくもない。表面はシリコンで、高級感があって触り心地抜群。人間工学を研究し尽くしたかのような特殊なデザインはとてもモダンでまるでアート作品。
電池を入れると、バイブレーションに様々なパターンまであった。「絶対にイカせてみせる!」そんな意地と誇りを感じた。

「最近のバイブレーターって凄いのね」
それだけ言って、あたしはそれを箱に戻して本棚に飾った。インテリアに成り下がったバイブレーターはしょんぼりしていた。

 ここ数年、自分でもビックリするくらいバニラなセックスばかりだ。
別に昔から過激でハードコアなセックスをしていたわけじゃないが、次々と新しいことにチャレンジしていくんだと思っていた。
しかし、そんな夢見がちな若い頃の自分から遠くなればなるほど、どんどん臆病になっていた。
「とりあえず、やってみよう」という自信は「でも、そんなことしたら」という心配に変わった。
だから、バイブレーターにも背を向けたのかもしれない。そんな未知なものを使うなんて、と入れず嫌いしていた。