カリスマを大量生産した「裏原」でガチ個性と対峙

 ティーンの個性派願望にあてられ、グッタリしながら竹下通りを抜けると、目の前にはまた新たな地獄が広がっていました。「裏原宿」です。

少年アヤちゃん 画像 恋の東京散歩 AM

 裏原宿…通称裏原。竹下通りでの個性派戦争を勝ち抜いた末、「ここに本物の個性はない」と気付いた者だけが進めるという、敷居の高いセカンドステージ。
全体的に流れる空気としては、竹下通りが「普通から逃げたい」なのだとすると、こちらは「普通なんてくだらない」という感じでしょうか。
やや強気になっているのが特徴です。

 他にも特徴としては、至る所にカリスマが潜んでいるという点が挙げられます。
カリスマ美容師、カリスマショップ店員、カリスマ読者モデルなどなど…。
芸能人と違って、庶民でも努力次第でなれそうな「カリスマ」の勲章は、今でも若者たちの憧れの的。
…ですが、カリスマへの道は案外険しく、そこまでやり通すほどエネルギーが無い…というのが多くの若者たちの心情で、結果「カリスマ風のファッション」だけが常に流行してしまい、本物のカリスマ以上にカリスマコスプレの人口が多いという、不思議な現象が起き続けている場所でもあります。

 と、出だしから鬼のようにディスりつつ(マジごめん)、早速中へ入ってみました。
ウィンドウショッピングでカリスマ男子を品評しつつ向かったのは、話題のアートスポットVACANT。
おそらく裏原イチ敷居の高いお店で、開放的な入り口と裏腹に、選民意識で形成されたバリアのようなものが張り巡らされており、赤ちゃんですら「バブ」と言って踏みとどまりそうな雰囲気。
中を覗くと、いかにも業界人といった風貌の男子たちが立ち話に花を咲かせており、そっと入店した私たちは一瞥もされず、どうやら客として認めてすらもらえなかった模様です。
店内にはカフェスペースと併設してアートブックが数冊陳列されており、引くほどおしゃれなムード。
一応パラパラ…とめくってみたものの、びっくりするほど雰囲気にハマれない自分が悔しくて、泣きながら退店。

少年アヤちゃん 画像 恋の東京散歩 AM

 続けて同じくアートスポットであるデザインフェスタギャラリーへ。
こちらはアーティスト志望の学生がメインの客層なので、そこまで敷居は高くないですが、アートというダイレクトな表現で若者の剥き出しな個性派願望を浴びるのはそれなりに消耗する感覚があり、色々な意味でVACANTよりも疲れるスポットかもしれません。
同行の編集さんも「なんか疲れた」とゲッソリ。