女もあこがれるかっこいいビッチ像
女性から見た最高に魅力的なビッチといえば、『セックス・アンド・ザ・シティ』のサマンサを挙げる方も多いのではないでしょうか。
私はSATCは箱推しですが、サマンサのいないSATCはやっぱりSATCではないので、心の神輿には常に担ぎあげてます。
NYで活躍する30代のコラムニスト、キャリーとその親友たちの生活と恋愛(と当然セックス)を描くこのドラマでサマンサは最年長、かつ最も成功していて最も性に関してアグレッシブな女性です。
男性の目から見た一種の幻想的なエロではなく、己の欲望にどこまでも主体的に取り組み、年を重ねても決して自分を制限しないサマンサの生き様は、最早あっぱれ!と言うほかありません。
したいことをするだけでなく、したくないことはしない潔さも一流。
「悪いんだけどこの後はセックスの予定があるから…」なんて台詞も平然と言えちゃう。その縛られなさが痛快です。
とにかくクセが強いので敵も多いサマンサですが、全く気にしてません。
他人にどう言われようと私は最高、と自分が一番分かっているからです。
それに友達は本当に気が合う人が何人かいれば、充分すぎるほど充分。ですよね。
日本国内の作品にも、もちろん多くのビッチが登場してきましたが、よくあるのは所謂「小悪魔」属性を合わせ持った思わせぶりな女性。中でも特に私の印象に残っているのはテレビドラマ『モテキ』の小宮山夏樹です。
『モテキ』は実は本物のモテ期の話というよりも、主人公幸世がこれまでの人生で邂逅した女性たちとの「出会い直し」の物語です。
夏樹は幸世にとって唯一本気で恋をしたファム・ファタル的な女性。明るく優しく俗に言うゆるふわな彼女は内にこもっていた彼の世界を大きく広げてくれた一方で、全く本心が読めず多くの男性のあいだを漂う手の届かない存在です。
正直、登場したときはやはりよくいる小悪魔ビッチキャラかぁ~と思ったのですが、この作品の凄いところは彼女の生き方に短絡的な動機付けを一切しなかったこと。
例えば男性をバカにしているから玩んで楽しんでいるとか、トラウマから男性を信用できなくなってしまったとか、心のスキマを埋めたくてすぐセックスをしてしまうとか、フィクションの中で説明してしまうのは簡単。しかし本来それは当人にも他人にも単純に解き明かせるようなことではなければ、そもそも解決しなければいけない問題とも限らなかったりするのです。
「本当の君を理解したい」と願ってきた幸世に(そしてきっと他の男性たちにも)「自分の思ってもみない方向に進む人生が好き」と告げて去っていく夏樹の生き方には他人がおいそれと干渉できない領域があり、彼女の人生がこれからどう転ぼうとも、それが男たちにどう捉えられようとも、そこにあるのは彼女の意志でしかない。
ある意味すごくハードボイルドなビッチ道にはすっかり痺れてしまいました。