ビートたけし主演!中年男と若い女に覗き見る狂気『女が眠る時』

たけうちんぐ 映画 女が眠る時 ウェイン・ワン
©2016 映画「女が眠る時」製作委員会

 好奇心は欠かせない。そうじゃないと映画はまず観ないし、このサイトだって開かない。「なぜ?」が生まれるとその理由を見たくなるし、この世のすべてが知り尽くされたと思いきや、まだまだ未知なことがたくさんある。

 人の心もその一つだ。男と女の違いだって、いくら辞書を読んでもネットで検索しても、その答えは出てこない。本作の健二はそれを自らの足で探し、現実と妄想の狭間でもがき苦しむ。

『スモーク』などの香港出身のウェイン・ワン監督が、スペイン人作家ハビエル・マリアスの短編小説を映画化したミステリー。

ビートたけしが醸し出す“狂気”

 海外のクリエイターの才能を取り入れながら、キャストは日本映画界屈指の俳優陣が勢ぞろいしている。ビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリ、リリー・フランキー、新井浩文といった顔ぶれが、現実と妄想が入り混じる“狂気”の物語を組み立てる。

 ビートたけしが自作以外の主演を務めるのは12年ぶり。彼が演じる中年男・佐原のキャラクターだけでも一見の価値があり、その存在感が作品全体から醸し出す“狂気”を支えている。

その好奇心は男の哀しい性なのか?

たけうちんぐ 映画 女が眠る時 ウェイン・ワン
©2016 映画「女が眠る時」製作委員会

 健二(西島)には理解のある編集者の妻がいる。作家としてスランプに陥ってるとはいえ、新たに就職先も決まっている。小説がヒットとして世間に一度は才能が認められたんなら、別にいいじゃん。結婚してるし、リア充じゃん。

 でも、そう上手くはいかない。人間とはこうも欲が深く、好奇心に突き動かされる生き物なのか。健二の行動からそれを思い知らされ、男の哀しい習性が浮かび上がる。佐原(ビートたけし)と美樹(忽那汐里)の謎めいたカップルが引き金となり、好奇心ゆえに健二は窮地に追い込まれていく。

 プールサイドで佇む健二の冷めた目つきよ。妻の話し声を聞き入れず、セックスも最後までいかない。妻はもはや女ではないのか、物語として完結してしまっているのか。女は多少謎めいていたほうが、物語として次のページをめくりたくなるものか。そこに安全なんて約束されていないのに、男はなぜ、わざわざ茨の道を進もうとするのか。

 そこには健二の作家としてのプライドだけでなく、男としての本能が詰め込まれている。リリー・フランキー扮する居酒屋店主のセリフ、「面倒くせえ女とか振り回すような女とかに追いすがるってのは、オスの習性なのかね」がまさにそれ。思えば、男は少年コミックで、女は少女コミックで育った。少年コミックのような刺激的な冒険心が備わっているのは、男の哀しい性なのかもしれない。 前売り券はこちら