【峰なゆか×いつまちゃん】恋愛をコンテンツにしたら人生変わった!対談

彼氏に浮気されたツイートが2万RT。
夫との馴れ初めマンガが5千いいね。

あれ? 最近「恋愛のコンテンツ化」が流行ってる?
そう私たちは気づきました。

友達に語り継いでいる失恋も、死ぬほどキュンとした思い出も、全部コンテンツにできれば私たちはより恋愛を楽しんでしまえるのではないか……? 今回の特集「恋愛をコンテンツにする」では、その可能性を探索します。

峰なゆか×いつまちゃん対談画像

第一弾はまさに恋愛をコンテンツにしている漫画家の「峰なゆか」さんと「いつまちゃん」さんに、恋愛マンガを描くことについて対談いただきました。

峰なゆか:漫画家。アラサー女性の恋愛観を的確に表現し、若い女性から共感を集めている。代表作は『アラサーちゃん』『女くどき飯』。週間SPA!、Numero TOKYO、グランドジャンプなどで連載中。
新刊『アラサーちゃん 無修正 6巻』

いつまちゃん:漫画家。ダメ男の生態やセフレから本命になれない女の子の気持ちを描き、Twitterを中心に爆発的な人気を博している。グランドジャンプ、東京ウォーカーで連載中。
新刊『来世ではちゃんとします1巻』

恋愛でハズレを引いても後悔しなくなった

――まず、お二人が恋愛ネタで漫画を描こうと思ったきっかけは?

私、そもそも恋愛の漫画を描こうって感じじゃなかったんですよね。ただ、「アラサー女性」について描こうと思ったらやっぱり恋愛のことが出てくる。アラサー女性にとって、恋愛、セックス、結婚って切り離せないじゃないですか。

いつま

私は、大学4年生の冬、彼氏に8年ずっと付き合ってる本命の彼女がいるってことをいきなり告げられたんです。内定も一つもない、卒業制作も作らなきゃいけない緊迫した時期にですよ!
もうここで元気を失うと、就職もできないし大学も卒業できないって状況でどうにかして自分を奮い立たせなければ!ってなって、今の状況をバーッと漫画にしてみたら、心がびっくりするくらい楽になったんです。卒業制作もいっそのことこれを出してみようと思って描き続けたのがきっかけです。

――恋愛ネタを漫画で描くようになって、恋愛やセックスに対するスタンスって変わりました?

恋愛でハズレを引いても後悔しなくなりました。逆に「面白いことしてくれるねこいつ!」みたいな感じでテンション上がるというか。漫画家を始めてから、むしろハズレくじに自分からいくようになってしまいましたね。

例えば、芸能人とか。イケメンで鳴らしてる芸能人なのにわざわざ私を口説くっておかしくないですか? ハズレだろうなって感じですよ!(笑) でも、芸能人で大したことなかったって話、漫画のネタになるというより、女子会で盛り上がるんですよね。

いつま

私は恋愛対象の幅が広がったように思います。今までずっとクラスの王子様だった!!……みたいなモテる人にばかりに憧れてきたのですが、創作を通して「この人はどんな恋愛をするんだろう」と多種多様な男性に魅力を感じるようになりました。

あと、今付き合ってる人が「携帯を解約してるからメールでしかやり取りできない」って言い張る怪しさ満点、でも顔はすごくいいって人なんですよ。変人なだけで地雷ではないと信じてますがもし爆発してもネタになるならいいかって、今を楽しめるようになりました(笑)

――描いた漫画が多くの人に読まれるようになってなにか変化はありましたか?

峰なゆか×いつまちゃん対談画像

もういろいろ描いてるんで、私とセックスしたりデートすると漫画に描かれる!って恐怖心を抱く男ばっかりなんですよ。だからこの状態で私のこと口説いてくる男って、振り切れたヤリチンとか、すごくイカれてる感じの人になるんですよね。
なので、ちょっと口説かれるだけで、この男は肝が据わってるな!って印象がよくなるようになりました(笑)

あとは、自分の恋愛を客観視するようになったかな。よくある、好きな人がいるんだけどセフレにされてて〜とか、不倫してて〜みたいな話って女子会で聞いてても面白くないんですよ。「やめたほうがいいんじゃ?」ってなってウケが悪い。
だからそういう面白くない恋愛はやめよう!ってなりました。どうせしょうもない恋愛をするんだったらせめてウケのいい恋愛をしようって。

いつま

私は自分に自信が持てるようになりました。
恋愛においても積極的になれたと思います。今までの人生なにもなかったんで、第一志望にも落ちたし、就活もボロボロで失敗したし、いつもセカンドだし……って思ってたんですけど、でも表現のセンスはあったかもしれない!って。男性に上から来られても「私だってイケてんのよ!」みたいな感じで臆しなくなりましたね。

――お二人とも自分の経験だけを元に漫画を描いてらっしゃるんですか?

私はほぼほぼ自分の経験って感じですね。男性視点の話は男の人から聞いた話が多いです。でも男の人って女性に対してあまり辛辣なこと言わないんですよ。
女同士ってすぐちんこの大きさとか話すじゃないですか。男同士でも誰とやったとか話すけど、膣圧がどうだったとか味がどうだったとかそういうことは言わないんですよね(笑) だから話してくれる人とは絶対付き合いたくないけど、ネタくれてありがとうって感じですよ!

いつま

私も自分の体験が多いです。自分は人からどう思われているかとか、誰が誰からどう見られているかとか、そういうことばかり考えて生きてきたんで。
こういうタイプの人はこういう行動をするとか、カテゴライズする癖がついてて、それが漫画のキャラに反映されている感じですね。でもカテゴライズしますよね?

しますね、それはもう趣味。『アラサーちゃん』にはヤリマンちゃんとか非モテちゃんとか極端なキャラが出てきますけど、両方とも自分の経験からきてます。ヤリマン期の自分だったり非モテ期の自分だったり、だから全部自分なんですよね。

いつま

わかります。私も全く一緒です。
私が描いた『来世ではちゃんとします』にはヤリマンの女の子だったり、恋愛に対して潔癖すぎる男の子だったり、風俗嬢に無謀な片思いをしてる男性だったりいろんな人が出てきますが、全部自分の負の感情の一部で、喪女経験の深い記憶と、処女喪失後に弾けてしまったときの経験から大部分が作られています。