女としての価値か社会としての価値か?引き裂かれる私たち/鈴木涼美インタビュー第二回

特集「愛とお金」第二回、鈴木涼美さんのインタビューです。夜と昼、二つの経歴を持つ鈴木涼美さんが世の中の女性の難題に挑みます。「社会としての価値に重きを置くのか、女性としての価値に重きをおくのか」「娘が『夜の世界にいきたい』と言ったらどうする?」 すべての女性に刺さる回答は必見です!

 今回は特集『愛をつなぐお金』として、元セクシー女優、元新聞記者という異色の経歴を持ち、『身体を売ったらサヨウナラ』『愛と子宮に花束を』などの著書がある鈴木涼美さんへのインタビュー第二回です。
第一回「お金で愛は買えるのか?」と夜の世界について、から話が膨らみ、鈴木さんが色々な経歴を持つ理由、女性の生き方の複雑さについて伺っています。

「私の魂はここがすべてじゃないし」
と思った方が楽

鈴木涼美さん紹介画像

――鈴木さんの著作を読んでいると、夜と昼の顔を使い分けることをすごく楽しんでるように感じました。

そうですね、「これはいけないような気がするけど理由はわからない」ってことは、とりあえず自分でやってみたくなるタイプだっていうのもあるんですけど。AV女優になることって法律で止められてもないけど、なんでダメだと言われるか説明できないから、実践してみたくて。

あと、いろんな世界に自分の置き場を作っておくと、とても生きやすいんですよね。会社で否定されても「私の本当の顔はあっちの夜の世界だし」と思っていられるから。

――たしかに、ひとつの世界だけだと評価されなかったとき、つらいです。

人間って、自分に価値を見出さないと生きていくのがなかなか難しいじゃないですか。
東大でもキャバクラでも、私より優秀な人はごまんといるけど、両方を平行する人はいない。私の場合はですけど、そういう、いくつかの相容れない世界を知ってることに自分の価値をひとつ置こうと思ったんです。

――でも、複数の世界を生きるって、どれが本当の自分がわからなくなりそうで、こわくはないですか?

どれが本当の自分かわからないくらいのほうが楽です。

――楽!?

自分が新聞記者だと思ったら、特ダネを他社に取られたらアイデンティティの存在が揺さぶられますが「でも私は新聞記者もやってるけど夜はキャバ嬢やってるし」と思ってれば、特ダネを抜かれても大して痛みを感じないというか。私の魂はここにすべてあるわけではないし、と思ったほうが楽。

この世界一本でやっていこうと思ってる人にとっては、私が横にいることは不快かもしれない。でも、自分の幸福は自分で決めていかなきゃいけないわけだから。ここにいる私だけが私じゃないって思ったほうが気楽なら、それでいいと思います。