「自意識過剰」のひと言で片づけられない問題

つまり、簡単に言うと「甘え下手を甘えさせるマニュアルなんてありません\(^o^)/」という白旗宣言なのですが、いろんな人の話を聞いていて思うのは、それぞれに異なる事情があり、甘え下手の原因も解決策も、最終的には本人にしかわからない、ということです。
決して「自意識過剰だからでは?」なんてひと言では片づけられない問題であり、こちらは一緒に話をしながら心のモヤモヤを言語化していくお手伝いくらいしかできません。

おそらく、甘えるというのは「感情と行動、感情と言葉を一致させ、それを相手に受け入れてもらう」ということではないかと思います。感情のおもむくままに行動するのは気持ちのいいことだし、もやっと感じていることをピッタリ言葉にできたら心がスッキリしますよね。

となると、甘えるためには、自分が何を感じていて、どうしたいのか、本人がちゃんと自覚することです。そして、それをしっかり受け止める他者が必要です。誰かに言葉を投げかけてみて、そのリアクションを頼りに自分の気持ちを知っていくなんてこともあることだと思います。だから、こちらはよき他者となれるよう、じっくり話を聞き、イマイチわからない部分は素直に質問をしてみる。甘え下手の人に甘えてもらうには、そうやって一つ一つコミュニケーションを積み重ねていくしかありません。

そして、話をしていく内に彼女たちが自分の問題点を言語化したり、恋人から甘えてもらえないカレシのさみしさを想像したり、「私って“甘え音痴”かも!」などと自分に名前をつけてみたり(それが前述のネーミングです)しながら、心が少しずつ軽くなっていく。ここまで行けたら、我々も少しは役立てたかなと胸をなで下ろす次第であります。

まあ、極めて地道な対応策で大変恐縮ですが……「甘えさせるには信頼関係を築くより他はなし!」ということで、何卒よろしくお願いいたします。

Text/清田隆之(桃山商事)
初出:2013.05.22