“めくるめくセックス”が本物で、“自分のやってるセックス”のほうが嘘なんじゃないか

二村ヒトシ 恋愛 結婚 セックス 大泉りかi

編集部:20代後半から30代の独身女性は、「できたら結婚したい」というのが本音だと思うんです。

二村:恋にときめいている相手もいるけど、自分の人生についても落ち着きたくもあると。

編集部:そう。揺れているんです。しかも、できたらセックスを通して幸せになりたい、と。

大泉:満足のいくセックスがしたいんですよね。

二村:本にも書いたんだけど、女の人の多くは、世の中に“めくるめくセックス”というものがあると夢見ていたりするよね。

大泉:そうですね。世の中にはもっと気持ちがいいことがあるんじゃないか、と密かに思っています。

二村:一方で、自分が彼氏と普段している生活としてのセックスやマスターベーションとは、それを結びつけてなくて、自分の身体のメカニズムもよくわかってない。そもそも“めくるめくセックス”と、“自分にとって本当にいいセックス”というのはかけ離れていていることを知らないといけない

大泉:うーん……、“めくるめくセックス”を想像してみると……私の脳内には「3人のイケメンにかしずかれて……」みたいな絵が浮かんでくるんですが(笑)。

二村:叶姉妹的な(笑)。

大泉:でも、それってパートナーとのセックスではありえないですよね。

二村:うん、ありえない。

大泉:“パートナーを相手にしためくるめくセックス”という前提で妄想しても、「高級ホテルのスイートルームでシャンパン片手に……」ってこれまたベタで申し訳ないんですが(笑)、考えれば考えるほど、“めくるめくセックス”の迷宮に迷い入っていく気がします。

二村:もうちょっと地に足がついていないといけないですよね。
ようは男と女の欲望の質の違いなんですよ。
男はオナニーしながら、頭の中に“めくるめくセックス”があるんだけど、あまりそれと現実とを重ねていない。まぁ、重ねようとして、目の前の女とセックスをしてるのに肯定できず、ヤリチンになっていく男もいるんだけど。
でも、女の人の場合には、“めくるめくセックス”が本物で、“自分のやってるセックス”のほうが嘘なんじゃないかっていう自己肯定できてなさがあって。

大泉:自分のセックスは、そこに届いてないって思ってるんですよね。

二村:そう。それは、ひょっとして、女の人が“ポルノ”というものに慣れていないからではないかと思うんですよね。
もしかして今回のAMのセックス特集も、まさにそうなるかもしれないけど、女性向けのメディアは、いわゆる官能小説的な“めくるめくセックス”を提示しようとするじゃないですか。
それをフィクションのポルノとして楽しむわけでもなく、かといって、自分の生活に取り入れるわけでもなく「これができていない私って、ダメだ」っていう自己否定感を持ってしまう。そうなってしまったら罪深いことですよね。ますますイケない女が増えていってしまう。