「仏頂面系デブ女」が認められたときに、初めてデブ女が解放される

 最初は信也の優しさが信じられなかった智美ですが、その真摯な態度に少しずつほだされ……誰もが応援したくなる前向きぽちゃ女子、智美のロマンチック官能ラブストーリー。
女性向け官能ノベルの老舗、プランタン出版が新しく立ち上げたオトナ女子のための「ジョシロマ系」ノベルの第一弾でもある今作は、さすが女子に勇気と希望を与える良作です。

 特に自分がぽっちゃりしていることにコンプレックスを持っている女性は、きっと読み終えた後に「そっか、中身を磨いて可愛く、女の子らしくいれば、太ってたって幸せになれる!」と明るい気持ちになれるはずです……が。
前編で、わたしが抱いた『諸手を挙げて「よかったね!」と彼女たちの解放を祝う気になれないのは、なぜなのだろうか――』の答えもまたここにあります。

 もちろん、可愛くあろうと努力することは、太っていようがいまいが、とても大切なことかもしれません。
そして、このコラムの中ほどでも、オラオラ系デブ男について、『デブのくせに生意気』だと書きました。が、これはあくまでも男の場合であり、女性の場合はまた別の話。
なぜなら、オラオラとした男と毅然とした女はまったく違うものだからです。

 マシュマロ系女子たちが、こぞって『可愛くあろうと努力しよ♥』という風潮になびき、媚びに傾きつつある今、わたしが待ちわびているのは、“明るくて、人がよくて、いつも笑っていて、食べることが大好きなデブキャラ”のステレオタイプにハマらない『仏頂面系デブ女』です。

 その圧倒的な肉体の迫力でもって他を圧倒し、「生意気」だと誹られても、傲慢な表情で背筋を伸ばしたbig beautiful womanが、男性たちの賛美を得たその時こそ、デブ女子が本当に解放される瞬間なのではないでしょうか。

Text/大泉りか

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