その理想のデート相手もそんな風に見えたのかもしれない。
本当に欠点がないのか、それとも欠点を見せてくれなかったのかはわからないが、その完璧すぎた彼を知る隙間はなかった。
やっとの思いでこんなに理想に近い人と出会えたのに、全然ときめかないことが不思議だった。
きっと心の中で何かが違うとわかっていたのだろう。
数回デートを重ねても違和感は消えなかったが、彼との関係は自然と消滅した。
とんでもないチャンスを逃したと当時は後悔もした。
ずっと理想の中のファンタジーを追いかけてきたが、それは自分が本当に求めていたものではないことに気付くまで長い時間がかかった。
映画やドラマを見ていればわかるが、人気のあるキャラクターに完璧な人はいない。
人気があればあるほど、大きな欠点もあるのだ。
欠点を抱えたキャラクターが物語を通してどうやってその欠点を克服し、いかに障害を乗り越えるのかを見て、観客は感情移入をする。
そんなキャラクターに惹かれる人が多いのは私たちが完璧ではないからなのだろう。
だからこそ、その葛藤がリアルに心に響くのかもしれない。
何より、最初から完璧なキャラクターの物語なんて山も谷もなくてきっと退屈だ。
その理想のデート相手はステキな彼氏を見つけて先日婚約までした。
彼の幸せそうな写真を見て、もしもあの時に違う道を歩んでいたらと考えることがある。
あきらめが悪いのは昔からだ。
隣で豪快にオナラをする隣の今の彼氏を見て、深いため息をついてみる。
理想の彼氏像からは遠いかもしれない。
欠点も数え切れないくらいあるかもしれない。
しかし、お互いに欠けているから、こうしてピッタリはまるのかもしれない。
こっちも負けないくらい強烈なオナラをすると、隣から深いため息が聞こえた。
Text/キャシー
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