浮気心を許すということ

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「恋人が目の前にいるのに、他の人を目で追いかけるなんて最低!」

 そうやってプンスカ怒っている人に全く共感できず、喧嘩を売ってしまわないように無難に頷いた。
あたしが他の人を目で追いかける度にうちの彼氏がいちいち怒っていたら身が持たないだろう。
タイプの人がいたら見たくなる。それを否定されたら生きる希望を失ってしまう。
そんなことで怒ることができるのは高校生の特権かと思っていたが、何歳になってもドラマクイーンを気取るのは楽しいようだ。

 怒りたくなる理由もわかる。
恋人や人生のパートナーという契約をその人と結んだのに、フワフワされたら頭に来る。
そこには嫉妬心だったり、相手やその関係性への期待など、多くのものが絡んでいる。
しかし、そこで相手を責めることだけが唯一の答えではない。
そこで怒っている人だって、他の人を目で追いかけたくなったことくらいあるだろう。

 束縛して当たり前な文化が根強い社会では、どうしても恋人ではない人を目で追いかけてしまう人が悪者になってしまう。
浮気心を全く持たない人なんてほとんどいない。誰かと真剣に恋愛してたって、他の人が気になったり、好きになったりする。
それはとても人間的だ。少なくともあたしはそう思っている。
その浮気心を無理に押さえ込もうとすればするほど、浮気したいという衝動に駆られてしまう。タブーの心理学だ。

 浮気された時に怒りや悲しみを感じるのは、嘘をつかれたことや裏切られたことが理由だったりする。
では、他の人を目で追いかける行為や他の人とセックスをする行為からそういった嘘や裏切りを切り離してみたらどうなるだろうか。
別の言い方をすれば、もし相手があなたとの同意の上で他の人を目で追いかけたり、他の人とセックスしたりしたら、そこにはどんな感情が残るのか想像してみてほしい。