若い頃にできるだけ失敗を重ねておけとよく年上からよく言われた。失敗から立ち直ることを繰り返せば、それだけ自信が育って逞しくなる。少しの失敗じゃ動じなくなる。
これと同じことがセックスや恋愛にも言える。フラれるということをたくさん経験していると、やがて大事なことに気付いた。
別に相手に背中を向けられたって、世の終わりじゃない。人間それぞれ違うものを追い求めているから、自分と相手のニーズが合致しないケースだって珍しくない。拒絶されることはネガティブだとは限らない。自分を責めても仕方がないし、相手を恨んでも意味はない。生き残るには、フラれ上手になるしかないのだ。
出会い系サイトやアプリが社会に浸透した時代に生きていれば、数え切れないほどの出会いがすぐそばにある。とてもじゃないが、全員を相手できるほどの時間と体力はない。
拒絶することも、されることも、まさに日常茶飯事だ。過去10年間、ネットを使ってセックス相手を見つけていた自分は、何度も「ごめんなさい」と言ったし、何度も「ごめんなさい」と言われた。あの頃の自分からは想像できないくらいに、フラれてもさらっと流すようになった。
率直に断られた時は、感謝の気持ちを込めて「どうもありがとう」と返すようにしている。手っ取り早く興味のない人にその気持ちを伝えれば、相手は無駄な時間や労力を節約できる。冷静に考えればとても思いやりのある行為だ。
また昔話に花を咲かせてしまったが、ハッテン場でセックスにありつけるアドバイスをすっかり忘れていた。年上の長話を聞かされて、ハッテン場バージンの彼は退屈そうだった。
「ハッテン場でうまくやるには、まず自信を養うことだよ。拒絶に怯える自分を克服して、他人からどう思われるのかなんて跳ね返せるくらいの自尊心を身につければ、きっとステキなセックスに巡り会えるよ」
なかなか良いことを言ったつもりだったが、彼は不満そうな表情を浮かべた。