カラフルな世界の方が楽しいし生きやすい

アル:十代の子からよく相談をもらうんだよ。
<私は女友達みたいにオシャレや恋バナに興味がなくて、ずっとショートヘアだしズボンが好き、こんな自分は性同一性障害じゃないか>とか。

K:それは飛躍しすぎだよね。まあ、十代は周りとの違いに悩むんだろうな…。

アル:私の好きなエピソードがあってさ。
手芸好きの北斗晶さんはプロレスラー時代、マイ竹刀入れを手作りしてたらしい。それって手芸もプロレスも好きで、自分の好きなことをしているだけなんだよね。
女らしいとか男らしいとかじゃなく「北斗さんらしい」ってこと。

北斗晶 エンターブレイン kamipro kamipro No.146/エンターブレイン

K:うん。僕も「キックボクシングをやってる」と言ったら「意外と男っぽいんだな」とか言われて。ゲイっぽい・女っぽい・男っぽいとか、なんでいちいち分けるんだろうと思う。
世間が決めた基準にあてはめようとするよね。

アル:ジェンダーフリーってミスリードされがちでしょ?「女に男らしくなれ」「男に女らしくなれ」って思想じゃないのに。
むしろ全然違って「女=赤、男=青って二色に分ける必要はない」って思想だから。
赤・青・黄色・緑・紫…って、いっぱい色があるカラフルな世界の方が楽しい。自分の色は自分で選べる世界が生きやすいよねってこと。

K:そうだな…僕がゲイと言われても悩まなかったのは、ゲイに嫌悪感とか一切ないのも理由かも。
友達に誘われて二丁目のゲイバーに行っていたけど、周りの男は「絶対ムリ」って引いていたよ。

アル:私も大学時代にバイの女友達と同居していたんだけど、それを話すと引く人もいて、引く意味が分からんと思った。一番引いていた子は、両親ともバリバリの保守派だった。

K:でも敬虔なカトリックの家庭で、反動で息子がゲイになるとかもあるよね。

アル:うちの母は反動型だよね。反動にせよ、刷り込みにせよ、親の影響は受けるんだろうな。

K:世代も大きいよね。歌舞伎町でバイトしていた時は、おじさん達のゲイ差別がひどかった。

アル:私も女装子ちゃんとバーで飲んでいたら、オッサン共が入ってきて「オカマがおるぞ!」って騒いでさ。キレようとした瞬間、若い子達が一斉にそいつらを睨みつけて退散させた。

K:若い人の方がモラルがあるよね。おじさんも色々だけど…やっぱりゲイってだけで「狙われそう」とか言う人が多い。

アル:テメー脳みそ何ビットだ?って思うよね。
その女装子ちゃんも「俺、男はムリだから」とか言われるらしいけど、そもそも彼女の恋愛対象は女だから。
性別は男だけど性自認は女で、ゆくゆくは性転換を望んでいる。で、恋愛対象は女。女として女が好きなので、性指向としてはレズビアン。

K:セクシュアリティって複雑で一括りにできないよね。
「オネエ」とか「ゲイ」って呼ばれても、みんなそれぞれ違うんだから。