今日は本当によかった!
「ニノミヤ君、今日のコは本当によかった! なんか田舎から出てきたばかりのような朴訥な感じでさ、それでいて舌使いがウマいんだよ! あれは高校生の時から田舎でやることがなくてセックスばかりやっていてかなり鍛えられたコだと思う。僕は2回目だから正直勃起できるか不安だったんだけど、その舌使いの上手さですぐに勃起できた」
その舌使いとは一体どのようなものかというと、まず、金玉を口に二つ含んでべろべろと口の中でなめ、その間は竿の部分を手でしごく。ブワッと金玉を離すと、裏筋を丁寧に舐め、カリ部分を舌でレロレロし、硬くなり始めたらカリを口に含んで尿道を舌で刺激する。そこで存分に立ったら勢いよく口だけで上下運動をし、いよいよ本番に入る。
日本では売春は非合法だが、一応「飲食店で恋に落ちた2人」という建前になっており、神奈川県警(町田とはいえ、神奈川県相模原市にこのエリアはある)は当時は黙認していたようだった。
正直神庭さんのエロ話には興味がなかったものの、あまりにも嬉しそうにマシンガントークを繰り広げるものだから僕は「はぁ~! それはいいですね! 今度間男活動する時、それ、やってもらいます!」と話を合わせた。
50歳になった神庭さんは
神庭さんは金曜日は町田に行き、土日は泊りがけで群馬県太田市と伊勢崎市の風俗店に遠征するのが毎週末の過ごし方だった。彼は公務員だったのだが、50歳になった頃、呆れたようにこう言った。
「ニノミヤ君、僕がこれまで風俗に使ってきたお金、8000万円だよ! いやぁ~、射精にここまでお金を使って何も残らなかったってバカな人生だな、ハハハハハハ!」
そんな彼だが、公務員宿舎に住んでおり、家の心配はなかったようだが、多少はカネの使い方を少し反省しているようだった。以後、風俗通いはキッパリやめたが、その5年後、帰らぬ人となった。僕は遺体が安置された場所へ行ったが、そこに彼の同僚女性がいた。
「本当にただのスケベ男だったわね」と彼女は笑い、僕も「本当にそうです」と答えた。55歳で亡くなったというのは本来悲劇的であるものの、在りし日のアホ過ぎる神庭さんのことを考えると「やりたいことをやりまくって死んだんだからまぁ、仕方ないかな」と二人して故人を偲んだのであった。
Text/中川淳一郎
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