アメリカ人彼女は「今ここでヤろう」と他人の家の庭を指さした/中川淳一郎

昔、アメリカ人の女性と付き合っていたことがある。彼女は留学生で、1年間の期間限定で僕の通う大学にやってきた。背がすらりと高く、青い目をしていた。金髪に近かったが、髪の毛は染めていると言っていた。本当は茶色い髪の毛だったというのだ。そんなナンシーは1年でアメリカの大学へ戻っていった。僕は就職活動を6月に終え、9月の大学の夏休み中に彼女が住む西海岸の街へ行った。

彼女が住むアメリカの街へ行くと

彼女は実家に住んでいたのだが、会うとすぐにエロを開始。両親に挨拶をしたわずか10分後の話である。まさか一つ屋根の下でこんなことになるとは思っていなかった。安いモーテルかどこかでヤるのかと思ったのだが、彼女の部屋で事に至った。彼女はこのとき大学の秋学期に突入しており、昼間は会うことができない。その間、僕は街に出て映画を見たりビールを飲んだりして過ごした。時々ナンシーの母親と一緒に市場に行ったりもした。

毎日夕方になると大学の近くで待ち合わせをし、ピザ屋へ行くなどした。そして家に帰ったら再び彼女の部屋で一戦が開始するのである。「両親は気にしないの?」と聞いたら「もう私だって大人だから気にしないよ。それに、私だってパパとママがセックスして生まれたわけだから、咎めることだとは思ってないんじゃないかな」と答えた。なるほど、論理的である。

最終日前日である6日目はクラブへ行った。彼女はビールを飲みまくり、踊り狂って会場では何度もキスをしてきた。日本人にはないノリだったが、他にもそのようなカップルは多く、実にアメリカ人というのは性にあけっぴろげであると感じ入ったのである。そして今晩は最終日、帰り道でも僕らは何度もキスをし、手を繋いで帰ったのだが、互いにもう興奮状態は高まってしまった。彼女は「今ここでヤろう」と他人の家の庭を指さした。さすがにそんなことをしたら不法侵入で銃殺されかねないため、「それはやめよう!」と必死に制止した。

彼女は「わかったー」とヘラヘラ笑いながら言った。酒を飲み過ぎるといつもこんな感じになるのだが、まさか外でヤる、という提案は日本でもなかっただけに驚いた。母国に帰るとリラックスできるのだろうか。さすがに人がどんな時間でも大量に出歩いている東京という街でそんなことはできるわけないのだが、人口密度が低く、夜、外を歩く人などあまりいないこの街であれば可能なのだろうか。