最後の土曜日に彼女から提案が

時間は刻刻と過ぎていく。彼女と過ごす最後の日曜日。彼女の入籍は次の土曜日である。彼女は言った。

「ねぇねぇ、私ね、ずっとセックスの回数数えていたんだけど、今日で多分148回なの。今週もう一回会って150回越えしようよ。その方がなんか『淫らな3ヶ月』みたいな感じでよくない?」

これはナイス提案、ということで、3回目を終えた朝2時30分、僕らはこれまでの3ヶ月の思い出を話し合い、そして、月曜日から木曜日の間で再びセックスをし、無事150回を達成した。これが#10の最終盤の「最後のセックス」に至るまでの流れである。

しかし、人生であそこまで会う度にセックスばかりしていた女性というのは佐藤さんが唯一ではなかろうか。3ヶ月間の契約(厳密に契約はないけど)で、付き合うという体験も思い返せばかなりヘンテコリンである。今、彼女が何をしているのか敢えてSNSでは検索しないようにしている。彼女の現実の生活は全く想像できない。

Text/中川淳一郎