息子が泊まりがけのサマーキャンプに出掛けたその夜、酔いどれた母がたどり着いたのは“カレーが美味い”という噂のハプニングバー。用意されたコスプレ衣装の中から、神輿の担ぎ手が着るようなダボシャツを身に着けてリングイン! さて何が起きるのか!(ここに至るまでの前編エピソードはこちら)
さすがは週末なだけあって、フロアスペースはおおよそ20名ほどの客でごった返していました。男女比はほぼ半々くらい。仕切られたプレイルームにしけこんでいる男女もいるので、かなり流行っている店のようです。値踏みするような男性陣の視線を全身に感じつつも、まずはバーカウンターでアルコールをオーダーし、そのついでを装ってお目当てのビュッフェコーナーへ。噂のカレーと生姜焼き、深夜なので米は少量だけにして皿に盛ってフロアに戻ると、ソファはすべて埋まってしまっていました。仕方なく絨毯の上に腰を降ろして、さっそくカレーにスプーンを差し込みます。実食!
ハプバーのカレーの味は…
う、美味い! 一言でいうならば、ホテルカレー風のリッチな味わい。ルーはサラサラ系のやや辛め。ブイヨンで煮込んであるのか旨味がとても強く、具材が豚肉だけなのも酒を飲みつつ啜るのにピッタリだし、ふっくらと炊きあがった米と合わせると、ルーの辛さが一層引き立って恍惚。さまに、“カレーが美味い”という冠を得るに相応しいカレー。ここのハプニングバー、なぜにこんな美味しいカレーを出してんの?
しかし、いくらカレーは美味くても、ここはハプニングバー。和柄のダボシャツに下はパンイチで床に座ってカレーを食う女。いま思えばだいぶ品のない姿ですが、さすがはコロナ禍の真っ最中にハプバーを訪れるメンズは気合いが違う。ジェイコブ・フォーチュン・ロイドを残念な感じにした男性が、さっそく話しかけてきました。
「初めてですよね。どういうキッカケでいらっしゃったんですか」
「あ、カレーが美味しいという噂を聞いて」
「なるほど……美味しいですよね」
「美味しいですね」
カレーに注力したいところですが、ここはハプバー。「食ってるから話しかけるな」というわけにもいかずに、なんとなく相手をしていると、ジェイコブは連れの、ロバートの秋山を一段黒くしたようなムチムチ男性を紹介してきました。
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