私も腋毛を生やした時期があった『全裸監督』をNetflixで観て

女性の腋毛

Netflixで配信中のドラマ『全裸監督』が、ネット上で議論を巻き起こしています。AV強要問題が完全には解決していない現状があるのに、この作品が称賛されていることや、これまで多くの女性たちを踏みにじってきた、男性的価値観を肯定するような内容そのものについて。

またメインヒロインのモデルとなった女性に許諾を取っているのか否かが、はっきりしていない(2019年8月23日現在)ことや、せっかく先ごろAVについて“5年ルール”(販売から5年以上が経過したAV作品は、出演した女優から要請があれば販売や配信の使用を停止にできる)が適用されたというのに、逆行する流れではないかという危惧する声も。

そもそも、女性搾取の構造があるAV業界を、日本オリジナルとして世界に向かって発信することはいかがなものかという論調もある――ということはさておき、わたしはとてもとても楽しく観させていただきました

それはおそらく、はたちくらいの頃から、ずっと男性向けのコンテンツを制作する業界にいたせいだと思います。そこでわたしは制作側サイドであったこともあるし、モデル側だったこともある。
だから必ずしも、制作サイド=一方的に搾取する側で、モデル=消費される存在とは思ってはいません。そこには両者の想いや思惑や企みがある。それを擦り合わせ、合致させて「いいもの」を作り上げることには、確かに快感と達成感があった。もちろん、同志との結束や尊敬も。

だからこそ、近年、より一層疎まれるようになった世界に生きてきたこと、そこに対していまも愛を持っている自分を、なんだか少し肯定してもらった気もしたのです……というなんだか堅苦しい話はさておき、今回は腋毛について書きたいと思っております。

腋毛を生やした女優に憧れて

わたしは、かつて腋毛を伸ばしていました。26歳の頃だったと思います。ふと、「今年の夏は、腋毛を伸ばすか!」と思いついたのです。もちろん「思いついた」といってもそう思うに至った大元には、「あの人に憧れて」というモデルがいます。

彼女の名はジュリエット・ルイス。最近はあまり表舞台で観ることが少なくなってしまいましたが、子役でデビューをし、個性派女優として独特の存在感を放ってきたハリウッド女優。今でもカルト的な人気を誇る『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の、女殺人鬼マロリー役を務めたといえば、「ああ、あの人か!」と思う人もいるでしょうか。ちなみにブラピの元彼女という経歴もあります。

そのジュリエット・ルイスがかつて、ラフォーレ原宿の広告ビジュアルに大々的に登場したことがありました。その街頭ポスターで、ふてぶてしい笑みを浮かべて手を大きく伸ばしている彼女の脇の下には、モサモサとした腋毛。それに当時、非常にショックを受けたのでした。

「腋毛って伸ばしていいんだ!」そして「腋毛を堂々と晒すのって、自由っぽくって、かっこいい!」

そう思いながらも、実際に自分が伸ばす勇気は持つことができませんでした。脇毛は綺麗に処理することが、女性の嗜みとされていたこともあるし、「そんな因習はぶち破ってしまえ!」と思い切ろうとしても、羞恥心が邪魔をする。そう、人に腋毛を晒すのはやっぱり恥ずかしい

そういえば、日本の元AV女優で、腋毛を伸ばしていた女性がいたことも、ちらりと頭をかすめたけれど、それは、AV女優だし……と、羞恥心を乗り越える原動力にはなりませんでした。