ソシャゲ課金の第一人者
某女性週刊誌より「ソシャゲと課金についての特集をやるのでご意見をお聞かせ願いたい」という依頼があった。
ついに、我(オレ)が、この我様が課金の第一人者。
課金といえばカレー沢、カレー沢といえば課金。「ソシャゲの課金は、カレー沢通せや!(日向紀久)」ということだろうか。
漫画家としてデビューして約9年、特に売れないまま、ただ遠くにだけ来てしまった。
しかし相手は週刊誌である。
「ソシャゲは人を蝕む害悪だ」という記事に加担させられるのでは、と思ったが、それだったら私のようなソシャゲで何度も絶頂して「生きてて良かった…」「サクセス…サクセス…!」とうわ言を言っている奴は呼ばないだろう。
よって、インタビューを受けることにした。
「ソシャゲは害悪になり得る」ということ自体は私も否定は出来ない。
その某週刊誌にも、主婦などから「ソシャゲにはまって家事がおろそかになってしまった」「夫がソシャゲばっかりやっていて、夫婦の会話が激減した」「配偶者が知らない内に、この金あったら子どもを塾に行かせられただろ、というぐらい課金していた」など、立派な家庭不和の原因として活躍するソシャゲパイセンの雄姿が投稿されてくるという。
それを踏まえて、その記者は私にこう質問した。
「どうやったら、カレー沢さん夫婦のように家庭円満な課金ができるでしょう」
私は「おっ良い質問しやがるじゃねえかてめえ、気に入った、家に来て妹をファックしていい」という顔でこう答えた。
「円満なワケねえじゃん」
「円満な課金」というのは「清純派ズベ公」ぐらい無理がある。
「小遣いの範囲内なら円満では」と思うかもしれないが「イケメンが描かれたJPEG」の価値がわからない人間にとっては、ゲームに課金など3円だって無駄金扱いなのだ。
そもそもソシャゲというのは無料でやろうと思えば出来るものだ。
つまりソシャゲ課金者というのは、わからない者から見れば、タダで出来るものに何故か金を払っている狂人であり、嫁とセックスするたびに5000円払っているような変わり者なのである。
そもそも趣味に過剰に熱中している人、というのはその分野に理解がない人間から見れば、すべからく変態なのだ。
ただ変態も、周りに迷惑をかけるタイプの変態と、ただ単に変態な奴に分かれる。
ソシャゲで言えば、前者は子どもの給食費でマーリンを出している奴で、後者は自分の小遣いを全額ぶっこみながらも、それがなくなったら撤退する奴だ。
では後者の変態なら迷惑はかけてないし、家族にも受け入れられるかというと、やはり「そんなことに小遣い使って」「そんなに使って大丈夫なの?」と苦々しく思われるのは避けられないのである。
よって、夫も絶対私の課金を心配しているし、苦々しく思っているのだ。ただ、夫に実害が及んでないから「止める」に至れないだけである。
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