一人旅とAC御殿

担当ハタノ

菊池さんは「これが本当に好きなもの」ってありますか?

菊池

私、一人旅が本当に好きなんですよ。一人旅してる間はずっと息してる感じがするんです。

アル

へーそうなのか!

菊池

特に海外の言葉が通じない場所に行くのが好き。すると言葉を使わなくても人とつながれるんですよ。その瞬間がすごく好きで。
結局「1人になりたい」と言いながら、誰かとつながるために一人旅してるんですよね。

アル

そういう場所だと、生きやすいと感じる?

菊池

はい。日本語を使うと、心にもないことを言っちゃったり、相手の言葉の裏を読みすぎたり、頭の中でゴチャゴチャ考えちゃって。そういうのをやめたいけど、それがすごく難しくて。

アル

言葉が通じない場所の方が、頭の中の雑音が減るのかな?

菊池

そうなんですよ。

アル

私も日本にいると窮屈で他人の目が気になるのはわかります。海外に行くと、女性がブラジャーとか丸見えで歩いてるじゃないですか?

一同:(笑)

菊池

そう! ブラジャー見えてて、だっさい服とか着てて、すごい気楽だなっていう。  

アル

日本で体にフィットした服を着てると「胸を強調してる」とか言われて、がっさムカつく。強調してるんじゃねえ、もともとついてるんだ!って。

一同:(笑)

菊池

たしかに(笑)。「鼻を強調してる」とか言われても、ついてるんだもんね。

アル

それに海外ではブラジャーとか普通に外に干してますよね。日本だと「女の下着はエロいもの」みたいな認識で「てめえら男の目がエロいんだろう!」って。

菊池

ほんとそういう面でも海外行くと楽ちんだなあと思う。あと私は日本の細かいしきたりとかすごい苦手で。

アル

私も日本にいると、たしなめられることが多くてね。母が死んだ時も火葬場で「焼き上がりはいつですか?」と聞いたら、親戚にたしなめられて。生きづらいなって思いました。

一同:(笑)

菊池

日本ってちゃんとしてるよね。だから「自分もちゃんとしなきゃいけない」って思っちゃう。

アル

もっとテキトーでいいですよね。人生百年時代にそんな頑張ってたらもたないし。

担当ハタノ

アルテイシアさんは、自分が本当に好きなことってありますか?

アル

私は家にいるのが好きです。

担当ハタノ

菊池さんとは真逆(笑)

アル

家にいるのが大好きなので、40歳になる前に中古マンションをリフォームしたんですよ。壁紙も家具もインテリアも自分の好きなものを選んで、子ども時代の夢を実現するみたいな。

うちの母が動物嫌いで飼えなかったので、ライオンや鳥のフィギュアだらけで動物園みたいな家なんだけど。友達にはAC御殿と呼ばれてます。

一同:(笑)

アル

AC御殿で目が覚めると、自分の好きな壁紙やインテリアがあって、毎朝「ああ幸せだな」と噛みしめます。それに実家は友達を呼べなかったので、自宅でJJ会をすると多幸感に包まれますね。

菊池

今って悩みはないですか?

アル

最近、物忘れがひどくて。

一同:(笑)

菊池

それはみんなが持つ悩みだもんね(笑)

アル

毒親育ちの生きづらさみたいなものは、もうないです。それはメリットが上回ったからだと思う。

毒親のコラムを書いて、それで「救われた」と言ってくれる読者がいたり、そういう人達とサロンでつながれたり…もちろん「毒親育ちでよかった」とは思わないけど、結果的に現時点でメリットが上回ったな、という実感がある。

菊池

それでいうと、私もどんどん悩みがなくなってきて。というか、悩んでもオッケーにしたというか。
悩みを漫画のネタとして描けるようになると、深刻じゃなくなるんですよ。「よし、次はこれを描こう!」みたいになって。

アル

「生きやすい」の連載もそうですよね。

菊池

そう。たとえば、ネガティブで暗い未来ばかり考えしまうことについて描いたの。友達と会ってる時も「この人が死んでしまったら…」とか、お葬式をリアルに想像しちゃうんですよ。

アル

脳内葬式をしてる。

菊池

そう(笑)。それを前は誰にも言えなかったけど、思い切って言ってみたら、ハタノさんがめっちゃ笑ってくれたんですよ。

担当ハタノ

面白いから絶対描いた方がいいって(笑)

菊池

それですごく楽になったの。こういう明るい人と付き合ったら、笑い飛ばされる案件だとわかって救われました。

アル

私はたまに脳内セックスをしてるけど、それはどう考えてもセクハラだから、言ったらあかんやつやと思います。

一同:(笑)

菊池

そうですね、それはダメですね(笑)

アル

でも脳内は自由だから、想像するのはいいかなと思ってます。

菊池

脳内葬式もいいんですか(笑)

アル

脳内は不可侵領域だから、何してもいいんですよ。親や元彼を殺しても全然オッケー。

担当ハタノ

面白い。やっぱり世の中にはいろんな人がいて、いろんな考えや価値観を知れるのが面白いですよね。

アル

うん。その中には絶対、自分と合う人もいるから。
毒親と話し合っても解決しないので、そこはもう諦めて、他にリソースを割くのがいいと思う。いろいろやってみたり、いろんな人に会ってみたり。「いろいろ見てみよう」とフィールドリサーチ的な感じで。

菊池

そしたら自分の好きなことや、好きな人が見つかりますよね。それで「あれ、気づいたら前よりも生きやすくなってる」と思えればいいなと思います。

―菊池さん、ハタノさん、ありがとうございました!

次回は<40歳を過ぎたら生きるのがラクになった/59番目のマリアージュ>です。
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