そんな感じで、ひたすらセックスしてるうちに得意科目になってきて、「得意だから楽しい」みたいになったけど。でも最初やっぱり、寂しかったからですね。寂しいから家に帰りたくなくて、バーに行って引っかけるみたいな。

もともとすごく寂しがりやなんですよね。

やっぱり子ども時代に子どでいられなかったので、誰かに甘えたかったんですよ。セックスがしたかったんじゃなく、抱きしめてヨシヨシされたかった。だからセックスをエサにして、一瞬でも甘えさせてくれる男を求めたんです。

今は寂しくないですか？

はい！　今は夫に甘え放題なので。夫に育て直されてる感じです。

アルテイシアさんが「旦那さんにお父さんの役をやってもらってる」と書いてたじゃないですか。その気持ちはすごいわかって、私も彼氏のことを理想のお父さんというか、こうしてほしかったことを彼氏にしてもらってるなと思うことはある。

私も同じです。はたから見たら歪んでるかもしれないけど、歪んでない人間なんていないでしょ？　歪んでる同士でピッタリ合えばいいと思う。

そうなんですよね。

夫は生き物を育てるのが得意なんですよ。「なんでいつも私と猫に優しいの？」と聞いたら「動物が好きだから」と言ってました。

動物(笑)。旦那さんはアルテイシアさんのことを、お母さんみたいには扱ってこないんですか？

全然。彼はマザコン要素ゼロなので。母親とめっちゃ仲悪いし(笑)

そっか、じゃあアルテイシアさんを娘みたいに扱ってる？

猫っぽいですね。もふもふした感じに扱ってる。

いいですね～！

猫にも私にも、無条件に揺るがない愛情を向けている感じです。なので見捨てられ不安がなくなって、メンが安定しました。

そうですよね。メンタルが強いって、気が強くなるとかじゃなく、気持ちが安定するってことですもんね。

人生どん底だったけど、59番目まで粘った甲斐がありました。 　

私、mixi時代から『59番目のプロポーズ』を読んでたんですよ。でもまぶしすぎて、読むのをやめた期間もあって(笑)

まぶしかったっけ(笑)？

この人は何でも持っているみたいな。

まあ最後はハッピーエンドですもんね。でもその前がずぶずぶの地獄だったので。

その地獄っぷりを、悲惨じゃなく面白く書いてくれるからいいんですよね。

いやーでも『59番目のプロポーズ』を読み返すと「キャリアぶりやがって」と思いますよ。

母のことは反面教師だったし、あんなふうに絶対なりたくないと思ってたけど、同時にやっぱり洗脳もされてるじゃないですか。

うんうん。

「エリートになれ」と育てられて、それがすごくイヤだったけど、やっぱり自分の中にも選民意識があって、男をスペックで見てるところもあったりとか。
そういうのも全部なくなりましたね、夫と出会って。今はもう夫が無職でもいい。

おーすごい！洗脳も全部なくなったんだ。

「カッパを探しに行きたい」とか言う人なんで、無職になってもやることがいっぱいあるみたい。

楽しそうですよね。世界中にあちこち行きたい場所がありそう。

びっくりしたんだけど、不老不死になりたいそうです。

マジかと思って。でも「火星に行きたい」とか真顔で言ってる人といると「人生ってそんな悪くないのかも」と思えるんだと思います。

へえー！不老不死か。

でも、わかるかも。この世界が100年たったらどうなるんだろう？みたいなのは、ちょっと見たいなっていう。

石仮面があったらかぶる派ですか、じゃあ。

え？

「俺は人間をやめるぞ、ジョジョー！」って言ってかぶるんです。

かぶるかもしれませんね(笑)

私は絶対かぶらない派です。私は死ねないことが怖かったんですよ。
「人生は苦だ」とずっと思っていて「今すぐ死んでもいい」という気持ちだったのが、夫に出会って「そう簡単に死ぬわけにはいかんな」に変わって。それで40過ぎたら人生がさらに楽しくなって「健康で長生きしたい」と思うようになりました。

すばらしいですね！

いや～旦那さんとの出会い、本当すごいですね。奇跡。

自分でもびっくりだし、子ども時代の自分に教えてあげたいです。そして今どん底にいる人には「人生何があるかわかんないから、ふんばって」と言いたいですね。