『酔うと化け物になる父がつらい』、『毒親サバイバル』の著者・菊池真理子さん。
『毒親サバイバル』は、毒親家庭で育った元・子どもたちの体験を描いたノンフィクションコミックで、アルテイシアも登場しています。
菊池さんもアルコール依存症の父に振り回され、14歳で母親の自殺を経験した、毒親サバイバーの一人。
対談には『毒親サバイバル』の担当ハタノさんにも同席いただきました。
クズと付き合う理由
- アル
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父親からDVを受けて育った女友達がいるんだけど、彼女は「こんなクズ見たことない!」みたいなクズとばかり付き合ってたんですよ。
- 菊池
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わかるぞ。
- アル
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彼女は「クズの方が安心する。マトモな人に好かれても、この人おかしいんじゃないの?と思っちゃう」と言ってました。
- 菊池
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全く一緒。「自分みたいな変な女を好きになるなんて、見る目ないな」と思っちゃうんですよ。
- アル
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それで自分を見下して、大切にしない男と付き合っちゃうんですか。
- 菊池
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そう。あと、私は無感情時代が長すぎるんですよ。昔はセカンドみたいになることが多かったけど、2番目で悔しいとか寂しいとか一切なくて。
- アル
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会いたくて会いたくて震えたこととかない?
- 菊池
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絶対ないです(笑)。むしろ「面倒くさいことは本命がやってくれるから楽」という感覚でした。
- アル
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両親の刷り込みですね、本当に。
- 菊池
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そう。本命になったら、母が父にやってたように全部面倒見なきゃいけないと思い込んでるの。だから「2番目が楽ちん、ラッキー」みたいな感じだったんですよ。
でも、本音は多分違うでしょう? その本音が自分でもわからないぐらい、感情が全然動いてなかったんです。
- アル
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「お母さんの自殺がキッカケで解離するようになった」と話してましたよね。無意識に感情をオフにするようになったのかな?
- 菊池
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そうなんでしょうね。だからひどいDV男と長く付き合ったんだと思います。
- アル
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『酔うと化け物になる父がつらい』に描いてましたよね。ひどい暴力と暴言を受けながら『傷ついたのかもしれない』『でも気づけなかった』って。
- 菊池
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そうなんです。彼は私が2番目じゃなかったし、すごい嫉妬と束縛だったので、「人は好きになったら殴るんだ」と間違った認識のままずーっといて。
- アル
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『酔うと化け物に~』の中に「学習性無気力」の話が出てきますよね。長期間ストレスを受け続けると「抵抗しても無駄だ」と逃げる行動すらしなくなるという、菊池さんもそんな状態だったのかな?
- 菊池
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そうだと思います。それで流されっぱなしのまま、9年ぐらい付き合いました。
- アル
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9年か~。これも性格の違いだろうけど、私はちゃぶ台引っくり返し系で我慢できないから、底つきが早いんですよ。
「心にジョセフを飼おう」というコラムに書いたけど、優しくて我慢強い人がDV男や毒親から逃げられず、苦しみますよね。
ジョセフの「たったひとつだけ策はある! とっておきのやつだ! 逃げるんだよォォォーーーーーッ」を合言葉にしてほしいです。