『酔うと化け物になる父がつらい』『毒親サバイバル』の著者・菊池真理子さん。
『毒親サバイバル』は、毒親家庭で育った元・子どもたちの体験を描いたノンフィクションコミックで、アルテイシアも登場しています。
菊池さんもアルコール依存症の父に振り回され、14歳で母親の自殺を経験した、毒親サバイバーの一人。
対談には『毒親サバイバル』の担当ハタノさんにも同席いただきました。
「父が死んでホッとした」
- 菊池
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『毒親サバイバル』は、アルテイシアさんの明るい存在感に救われたんですよ。アルテイシアさんって明るいし、めちゃめちゃ面白いじゃないですか。それがすごいなと思って。
- アル
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お~どうだろう(笑)。今回の父の自殺について書いた「毒親の送り方」シリーズも、特に笑わそうとかじゃなく、思ったことをそのまま書いてる感じなんですよ。
- 菊池
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私が父の泥酔エピソードを笑い話にして受けを狙うみたいなのって、痛々しいですよね。でもアルテイシアさんはそうじゃないからいいなと思って。
- アル
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そうですね。父の死体の確認に警察署に行ったら、イケメンデカが出てきて「え?どっちを攻略しよう」みたいな。「うっかり何かを自供してしまいそう」とか思ったんだけど、そんなもんだと思うんですよ。人間って親が死んでも結構面白いこと考えてたりするじゃないですか。
- 菊池
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それを書いてくれたのがありがたいです。あのシリーズは私の周りでもすごい話題になって、みんな「いいね」「面白いね」と言ってて。
- 担当ハタノ
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新しい価値観ですよね。「親の死を笑ってもいいんだ」っていう。
- アル
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ツイッターでも「不謹慎だけど笑ってしまいました」みたいな感想が多くて「べつに不謹慎じゃないですよ、どんどん笑ってくださいね」という気持ちでした。毒親の死というと、シリアス系や美談系が多いじゃないですか。
- 菊池
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以前コラムに書かれていた「毒親ポルノ」みたいな。
- アル
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そうそう。毒親が死んでから感謝するとか、死ぬ間際に和解するとか、お涙頂戴のやつ。めっちゃ嘘くさいですよね。感謝や和解ができる親なら苦しんでねえよっていう。
- 菊池
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そう言ってくれる人が少ないですよね。ドラマや映画も「最後はわかりあえて良かった」というハッピーエンドが圧倒的に多くて。
- アル
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なので私は「父が死んでホッとした」と単なる正直な感想を書きました(笑)。みんな「そんな風に思う自分はダメだ、おかしい」と自分を責めることで、病むじゃないですか。そこはどんどん言っていきたいなと思って。
- 菊池
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それを読んで楽になったり、救われる人は多いと思います。
- アル
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それに自分自身も楽になりますよね。