エロに支えられた人生

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 振り返ると、我が人生はエロに支えられてきた。「これはもう限界か…」という時、エロい妄想をすることで乗り越えてきたのだ。

数年前、女友達と屋久島で登山した時もそうだった。
スタート時点では「おっことぬしさまー!!」と叫ぶなど元気いっぱいだったが、1時間もしないうちに「ヤバい、もう限界だ…」とこだまのように顔面蒼白になった。
そこから舞台は『もののけ姫』から『八甲田山』に変わり、「どうにか生きて帰らねば」と思った私は、同行の男性ガイドさんを脳内でムチャクチャに犯していた。

本当に申し訳ない話で、今度会う機会があったら「脳内でムチャクチャに犯してすみません」と謝罪したいと思う。でもそうすることで、足を一歩前に進めることができたのだ。テストステロンやアドレナリンといった脳内ホルモンを自力で分泌させていたのだろう。

運動神経もバランス感覚も体力もない、血統書付きの逸材の私に、屋久島登山はハードすぎた。
夫と近所の山をハイキングした時ですら、私はずっと四つん這いで登っていて「スメアゴルみたい」と言われたのだ。その時も最後は息も絶え絶えになり、夫に「おんぶしようか?」と真剣に提案されて、『ロード・オブ・ザ・リング』から『楢山節考』になるところだった。

こんな私がフィジカルの強い格闘家と結婚したのは、遺伝子の導きかもしれない。人は自分に欠けたものを持つ人間に惹かれるのだろうか。

それでいうと、夫は性欲に欠けている。しばらくセックスしてなかった時期に「オナニーはしてるのかね?」と聞くと「いや、最近はオナニーしようとしてもチンポが勃たない」と返された。私の性欲を分けてあげたいぐらいだ。
夫の父親は女好きの浮気者だったそうなので(それも原因となり子どもの頃に離婚)、そのあたりは遺伝しなかったのか、もしくは反面教師にして育ったのか。

チンポが勃たない夫だが、新婚当初は今よりも勃っていた。ある日、コンドームの箱を枕元に放置していたら、義母が手に取ってしげしげと眺めていた。

アル「あ、すみません、それコンドームです」
義母「バズーカ、マグナムサイズ?」
アル「そうなんです、彼はわりとマグナムなので」
義母「そういえば、あの子のパパもマグナムだったわ…」

父から子へと、マグナム遺伝子は引き継がれたのかもしれない。
気づくと私のコラムは夫婦じゃなくエロがテーマになっているが、これも遺伝子の導きなのか。
しかしエロは時として役に立つので、マンモグラフィーを受ける際は「これは乳をぺったんこに挟むSMプレイなのだ」と妄想の翼を広げて、乗り切ってほしいと思う。

Text/アルテイシア
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