AMで「恋してないけど愛してる」を連載中の、こはなみみこさん。
彼女は以前「アルテイシアの恋愛デスマッチ」のカウンセリングに登場してくれました→「毒親育ちのレズビアンが婚活で最高のパートナーに出会うまで」
みみこさんは「レズビアンですが男性と(ほぼ)友情婚しました」のコラムの中で、次のように書いています。
毒親育ち・既婚・レズビアン・フェミニスト・ミサンドリー(男嫌い)・元ビッチ・オタク・百合好き・ADHD・婦人科系疾患治療中で妊活中の28歳です。
レズビアンですが、パートナーは男性です。婚活アプリで出会い、半年で結婚しました。
(略)
それは決して自らの欲求を叶えるためだけに「結婚」という制度を利用するのではなく、生きづらさを感じている私と、どこかにいる別な生きづらさを抱える誰かがお互いの得意と不得意を持ち寄り合って、少しでも楽に生きていけたら、という思いから始まるものでした。
今回はみみこさんと「最高のパートナーを見つけて、幸せな夫婦関係を築くコツ」について語りました!
ADHDのカムアウト
- アル
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カウンセリングでみみこちゃんの話を聞いて「夫はダライラマか!」と感動したんだよね。たとえば、毒親育ちのみみこちゃんは「相手の顔色を窺って、我慢して合わせる」がデフォルトだったそうだけど。
- みみこ
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はい。母との関係で「自分が我慢して謝ればすむ」と学習してしまったので、イヤと言えない・怒れない人間だったんです。でも夫が「あなたも怒っていいし、機嫌を損ねてもいいよ。そうやって対等な感情のやりとりをしよう」と言ってくれて、毒親の呪いが解けました。
- アル
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結婚前、婦人科系の疾患について話した時の反応も「100点かよ!」と思った。
- みみこ
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夫に「婦人科系の疾患があって不妊の原因になるかも」と話したら「子どもができなくても僕は夫婦二人でも幸せだし、子どもを望むなら養子という選択肢も考えられるよね」「まずは僕も検査を受けるよ」といって、男性不妊について調べてました。
- アル
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ハア~~ダライラマやねえ。その他の、自分の抱える生きづらさについても結婚前に話したの?
- みみこ
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全部話しました。私にとって特にキツかったのが、ADHDだったんです。
26歳の時に診断を受けたんですけど、それまでの私はとにかく仕事ができなくて、派遣で働きながら短期でクビになるのを繰り返してたんですね。そのたびにメンがヘラって、自己肯定感が息してない状態で。
- アル
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それはそうなるよねえ。「こんな自分は生きていけないんじゃないか」と不安になるし。特にどういうことが苦手だったの?
- みみこ
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とにかく同時進行ができないんですよ。たとえばデータ入力中に「これもお願い」と別の書類を渡されると、パニックになるんです。
- アル
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マルチタスクができないのはわかる。私もウンコしながら漫画を読んでても、漫画に集中するとウンコの存在を忘れるから。
- みみこ
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あははは(笑)
- アル
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だから広告会社時代は地獄だった。「なんで周りが普通にできることが自分にはできないんだろう」「自分は給料泥棒だ」とメンがヘラヘラになってた。
でも物書きになって「好きなことはできる」と気づいたのよ。ひたすら文章を書き続けるのはべつに苦じゃないから。
- みみこ
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私も文章を書く時はものすごい集中します。ただ文章は趣味で同人誌に書く程度で、本業の仕事で何度もクビになってる自分に劣等感が強すぎて。それで心療内科に行ったら「キミこそADHDだ!」と太鼓判を押されたんですよ。
- アル
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キミこそスターだ!みたいな(笑)
- みみこ
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そうそう(笑)。診断を受けてホッとしました。親にも「あなたは発達障害じゃない、努力すればできる!」とずっと言われてきたので。
- アル
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それは本当につらいよねえ…。夫にはどのタイミングで話したの?
- みみこ
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付き合ってわりとすぐ結婚話が出たので、その時ですね。ADHDとこれまでの経緯を話したら「わざわざ苦手なことをして苦しむ必要ないよ」「あなたは他にできることがたくさんあるでしょ」と言ってくれて。
- アル
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ハア~~ダライラマやねえ。
- みみこ
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そんなふうに肯定されたのが初めてだったので、大号泣しました(笑)。
- アル
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私も毒親育ちで見捨てられ不安が強くて「こんな面倒くさいメンヘラ女は嫌われる、自分を変えなきゃ幸せになれない」と思ってたけど、夫に「いろいろ大変なことがあったんだから、不安定になって当然だろう、別に変わらなくていいんじゃないか」と言われて、メンが安定したのよ。
- みみこ
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「それでいいのだ」ですね。
- アル
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「こいつバカボンのパパやったんか…!」って。鼻毛もめっちゃ出てたしな(笑) 私はいつも「男は見た目やスペックじゃない、アナルのデカさだ」と書いてるけど、自分のマイナスな部分も受け入れてもらうことで、いい方向に変化していけるんだよね。
- みみこ
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私も夫と暮らし始めて生きやすくなったので、独身女子には「アナルで選ぼう」と言いたいです。
- アル
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みみこちゃんの夫はダライラマ夫(お)でアナルガバ夫(お)なわけだけど、なんでガバガバなんだと思う?
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ガバガバの理由
- みみこ
- うちのアナルガバ夫はそもそも偏見がないというか、誰に対してもフラットなんですよ。その理由の1つとして、彼は理系の研究者なんですけど、周りに発達障害傾向の強い人が結構いるみたいで。
- アル
- 研究者はそうかもね。1つのことを突きつめるのが得意だから。
- みみこ
- そう、職場で発達障害についての研修もあるらしく、もともと知識があったことも大きいと思います。でも一番の理由は、彼自身も生きづらさを抱えていたことですね。
- アル
- お互いに生きづらさを抱えているからこそ、マッチした。まさに割れ鍋に綴じ蓋。
- みみこ
- 彼は「診断は受けてないけど、自分はアスペルガー系だ」という自覚があったらしく、とにかく人とのコミュニケーションが苦手なんですよ。
- アル
- 夫がみみこちゃんを好きになった理由は「言葉が通じるから」なんだよね(笑)
- みみこ
- そうなんです(笑)。彼は人の感情を読み取れないので、普通に話してると「この人は何が言いたいんだろう???」と混乱するんですね。なので、私は結論から話すようにしてます。彼の行動にイラついた時は「私は今怒ってます、これからその理由を説明します」というふうに。
- アル
- :それは世のカップルにも汎用できるよね。古より男女間では「なんで察してくれないの?言ってくれなきゃわからないよ!戦争」が続いてきたでしょ。
- みみこ
- 女性の方が共感力の高い人が多いので、戦争になりがちですよね。
- アル
- 我が家は戦争を回避するために「察して禁止令」を導入して「具体的な要求」を伝えるようにしてる。
たとえば妻が食器洗いしてる時に夫はテレビを見ている。妻がイライラしてため息をついても、夫は「機嫌悪いのかな?」「仕事でイヤなことがあったのかな?」ぐらいしか思わない。そこは「疲れてるから食器洗ってくれる?」と言葉で伝えた方がいい。
- みみこ
- ほんとそうですよね。人類なんだから、言語のコミュニケーションをサボるべきじゃないなと。
- アル
- キエーッ!!!とキレて食器を投げるんじゃなく。まあそこで「お前が洗えよ」とか言う夫は、皿で頭をかち割っていいけど。
- みみこ
- それはそもそもの人格の問題ですよね。
- アル
- そう、相手がモラ山ハラ夫だった。
- みみこ
- 相手がモラ山ハラ夫じゃなく、単に意思疎通できてないだけなら、言葉で解決できますよね。勝手に期待するんじゃなく、お互いの違いや得意不得意を認め合うことが大事だなって。
- アル
- 私も「夫はトイレットペーパーの在庫とか見えないんだな」と理解して、買い物リストを渡すようにしてる。その方がお互い機嫌よくいられるし、夫婦生活をうまくやるコツだと思う。
- アル
- パートナー選びにおいて「話し合いができるか」も大事だし、「他人の生きづらさを理解できるかどうか」も大事だよね。
たとえば「同僚が鬱で休職した」と話した時に「それは甘えだ」「仕事は辛いものだ」とか返す人は「モラ山ハラ夫、サイコ田パス太郎じゃないか?」と疑った方がいい。 - みみこ
- 鬱とか発達障害とかLGBTとかいろんな話を振ってみて、相手の反応をチェックすれば、価値観や人間性を探れますよね。
- アル
- みみこちゃんがレズビアンをカムアウトしたのはいつ?
- みみこ
- 付き合って2か月後ぐらいですね。私が女の子とすれ違った時に「ちょ、今の子めっちゃカワイイ!」「おっぱいがスゲーでかい!」とか反応するのを、夫は尋常じゃないと思っていたらしく。
- アル
- あははは(笑)
- みみこ
- 彼に「なんか男みたいな反応するよね」と言われて、ちょうどいい機会だと思って「実は女の子が好きなんだよね」と打ち明けたら、第一声が「そうなんだ。今あなたは男の僕とセックスしてるけど、無理してない?大丈夫?」でした。
- アル
- ハア~ダライラマ夫!
- みみこ
- 私も「アナルガバガバやないか」と感動しました(笑)。そこで「私は恋愛対象は女性だけど、男性とセックスできるレズビアンである」と説明したら「1つだけ確認したいんだけど、今後、僕以外に女性の恋人を作ることはあるのかな?」と聞かれて。
それに対して「それはポリアモリーという別のセクシャリティであって、私はモノガミーなので、あなたというパートナーがいれば他に恋人は作らない」と説明したら「なるほど、じゃあ何も問題ないです」と納得してました。
- アル
- すばらしい!石の裏のキンタマ(=金の卵)を見つけたねえ。ダライラマ夫の共通点として「見た目がダサい」があるよね。
- みみこ
- 私も「プロフ写真がダサい人」を基準に選んだので(笑)
- アル
- グアム土産のTシャツ(笑)。うちの夫も全身迷彩服で現われて「ユニクロは高級ブランドだ」と言ってたけど、「見た目がダサい」ってモラハラ除けの指標になると思う。「自分を良く見せたい」というモラハラの特徴がないわけだから。
- みみこ
- たしかに「盛る」という発想がないですよね。自分を大きく見せようとか一切ないし。
- アル
- そういう人って「盛ってない、ありのままの相手」も受け入れられるんじゃないかな。
夫はこっちの見た目も一切気にしない。モラ山ハラ夫は妻の服装や髪形に口出しして、自分好みにしようとするでしょ。 - みみこ
- まさにうちの支配系の母親が、服も髪型も全て指図してくる人でした。
- アル
- だから真逆の夫を選んだのかもね。うちの夫は「部屋着は破れてからが本番だ」「みすぼらしければみすぼらしいほど、キミの良さが引き立つ」と言ってるわ。
- みみこ
- 私も夫にはどんなダルダルの姿も見せられますね。まあ彼もダルダルのTシャツを着てますけど(笑)
- アル
- その他の共通点としては「モテテクが通用しない」。
- みみこ
- 技が無効化される(笑)。私もモテテクを全部スルーされて「こいつやるな」と思いました。
- アル
- 「おめえつえーな!オラと一緒に戦わねえか?」みたいな。私も夫の前では野沢雅子になった。
- みみこ
- 私も技を封印して本性を全開にしたら、めっちゃ話が合って意気投合しましたね。
- アル
- 男受けとかモテテクって「男を気持ちよくさせるサービス」だから、そもそもそれを求めてない人がいいよね。50年もサービスを続けるなんて無理だし。
- みみこ
- 素の自分を受け入れてくれる人を探すなら、最初からフル開示で臨んだ方がいいですね。「モテよりマッチング」「雑魚モテを捨てて本命をつかむ」の精神で。
私は『オクテ女子のための恋愛基礎講座』を読んで「自分にピッタリのおせんべいの片割れを見つけよう」と思いました。 - アル
- そうそう。デコボコしているからこそ、ピッタリの相手に出会える。完璧な人なんていないし、完璧を目指さなくていいんだよ。
私は毒親育ちをマイナスだと思っていたけど、それがプラスになることもある。毒親育ちだからこそ「新しい家族を大切にしよう」「何があっても相手を守ろう」とチームの結束が強くなるとか。
- みみこ
- 私も夫に「僕を盾に使ってほしい」と言われたけど、自分も盾になりたいと思ってます。
- アル
- あと毒親育ちゆえに「親が与えてくれなかったものを与えてくれて、あの地獄から救ってくれてありがとう」という感謝がすごい。
- みみこ
- 私も日々感謝してますね。私、もともとアトピーなんですよ。今は皮膚科の薬で治まってるけど、母がステロイド嫌いで、ヨモギ汁とか強酸性水をぶっかけられてたんです。
- アル
- 毒親と民間療法の親和性。
- みみこ
- あれはほんとヤバい。強酸性水をぶっかけられた時、全身の皮膚がただれて、高熱で寝込んだんですよ。この前、母に電話でふと「あれはキツかったよ~」と言ったら「いくらお金がかかったと思ってるの!あなたのためにやってあげたんでしょ!」とキレられて。
- アル
- 毒親図鑑に例文として載せたい言葉だ。
- みみこ
- テンプレかよっていう。その話を夫にしたら「それは虐待だよ、今まで長いことつらかったね」と抱きしめられて、またもや大号泣(笑)。夫のお陰で過去の傷も癒えてきてますね。
- アル
- 毒親図鑑に「親は選べなくても、パートナーは自分で選べる」「実の家族に恵まれなくても、新しい家族を作れる」と載せたい。あと「ダライラマ夫は見た目がダサい」も。
- みみこ
- 夫はこの前もポロシャツの上にYシャツを重ねて、妖怪襟6枚みたいになってました(笑)
- アル
- 男は襟の枚数じゃない、アナルだ!やっぱり「あんぱんの皮じゃなくあんこに注目」が鍵だよね。
皮はイケてるけど中身はうんこの男もいるし、皮はダサくても最高のあんこが詰まった相手を選んでほしい。
私が59番目の夫を選べたのは、過去のクソ恋愛でさんざん血を吐いてきたからだと思う。 - みみこ
- 私もそうですね。過去に女子と付き合った時にさんざん血を吐いて、「底つき」を経験したのが大きいと思います。
ダライラマ夫の共通点
うんこかあんこか?
―次回は底つき経験や、「股間のセンサー」について語ります!
Text/アルテイシア
次回は <アルテイシア×こはなみみこ対談②「地下アイドルと別れて、股間のセンサーオフで婚活」>です。
AMで「恋してないけど愛してる」を連載、そして「毒親育ちのレズビアンが婚活で最高のパートナーに出会うまで」でアルテイシアさんのカウンセリングにも登場したこはなみみこさんの対談第2弾です!
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