スマホ依存は家事から逃げたいから
現代でよくある争いごと上位にランクインするであろう、『家事をしてないのにスマホゲームに精を出している』問題を私たちは抱えていた。
当時ゴリラは「クソゲーだから日本で俺しかやってないと思う」と言いながら、なぜかゾンビがレストランをやるゲームにハマっていた。
町の食料(人間)をタップしてゾンビに襲わせるだけという恐ろしくつまらないゲームだったのだが…当の本人も面白いと思わないのにレベルが異常に高くなってしまい、やめるにやめられないようだった。
彼はつまらないと言いつついつも隙あらばスマホをタップしていたので、なぜ続けるのか不思議だった。
一方私は、『メルカリで壺を見るのがやめられない病』にかかっていた。
子どもの頃から『開運!なんでも鑑定団』の大ファンの私は、蔵から出てきたという小汚い壺に高値が付けられているのを見る度にロマンを感じていた。
残念ながら我が家に蔵はなかったので、蔵のある家を見かければ国宝の壺が1つはあるのではないかとわくわくしたものだった。
そして月日は流れ、メルカリが登場した。皆さんご存知のフリマアプリだ。
大人になった私は、そんなメルカリで壺ばかり見ていた。
『壺』『蔵』で検索をかけては「この小汚い壺にもしかしたら国宝の可能性が…!?」などと想いを馳せながら、自分的に国宝の可能性があると見込んだ壺にいいねをつけて楽しんでいた。
24時間何かしらが出品されているので、新しい国宝が出品されてないかと事あるごとに見てしまう癖が、私の問題だった。
こうして並べてみると両者どっこいなのだが、
当時の私は「なんで1円にもならないクソゲーばっかりやって皿を洗わないのよ!」とゴリラにイライラすることが多々あった。ゴリラもきっと壺ばかり見て洗濯をしない私にイライラしてただろうと思う。
二人とも疲れて帰宅して、30分も皿洗いのために台所に立ち、1時間半洗濯物の洗い上がりを待って、15分もかけて洗濯物を干す。
当時は気づかなかったが、そんな作業について考えるだけで億劫だったのは同じはずだった。
私達はスマホをいじって目の前の家事というストレスから逃れているつもりで、お互いイライラを募らせていたのだった。
そんな私達に心のゆとりをもたらしたのは、ドラム式洗濯機と食洗器だった。