生きていたイケオジ

ある日私のインスタに、見覚えのある名前から『いいね』が一つだけついた。
もしや…?と思い見に行ってみると、なんとあのイケオジ本人だった。

私は「イケオジや〜ん超久しぶり〜!どうやらまだハゲてないじゃ〜ん!」と思わずDMをした。

そしてそのまま「今日飲みに行こうぜ!」と新宿のガード下で飲む約束を、同窓会をする勢いで取り付けた。

別に元カレと会うと言っても、やましい気持ちはなかった。
「会社の役員になった」と報告され、「なんだと10年経った私だってすげえぞ!」という対抗心と、単純に興味からだった。

しかし1番の理由としては、悲しいかな学生時代は友達を作らず男遊びばかりしていため、懐かしむような人間が元彼くらいだったことにあるだろう…。

その日の夕方。

「いよっすいよっすゥ〜!10年ぶり〜!」
と軽口を叩いてから見てみると、我が目を疑った。
イケオジは見た目が全く変わっていなかったのだ。

江戸時代ならとっくに死んでるはずの年齢なので、最近タルミが気になる私は軽くジャブを喰らったような気がした。
たしかにこいつならヘルクライムピラー登れそうだもんな…と思った。

悔しいので、いつかほうれい線にボトックスを打とうと密かに決めた。

そんな変わらない彼としばらく飲みながら
「仕事どうよ」だとか
「実はあの時4股してたんだよねスマンスマン!」だとか、

「懐かしいなー!一人暮らししてた私にコタツをくれたよね!」
「それ俺じゃねえ」
だとか、たわいのない昔話をした後、私は聞いてしまったのだ。

「最近はどうなの、相変わらず若い子と付き合ってんの?」