お互い感謝は忘れない

習慣が定着するためには、毎日継続してやり続けるということもありますが、その行為をしたら報酬があるというのもいいですね。そんな大層なご褒美を用意するわけではなく「掃除してくれて気持ちよくなったね。ありがとう」と感謝の気持ちを伝える程度です。 他人から感謝されるのは気持ちのいいものです。しかも、自分がやったことを正確に評価されるのがもっとも嬉しい。 「ありがとうを伝え合っても失うものは何もないんだから、積極的に褒め合おう」と自分のためにも、相手を褒めることをお互い意識することです。「ありがとう」を言い合うことが夫婦の中で当たり前になれば家事だけではなく、それ以外の場面でも気持ちのいい関係を作ることができます。  

家事ハラを避けるには?

また、相手に任せた家事のクオリティには基本的に口出ししないようにしましょう。誰でも上手くやれるようになるまでは時間がかかりますし、誰かから何かを言われると「じゃあ、あなたがやってよ」と言いたくなります。 もし、相手の家事に気になるところがあるなら、その家事をやっている最中ではなく、落ち着いたときに伝えることです。自分が作った料理をその場で「マズい」と言われると物凄く嫌な気分になりますよね。それと同じで、家事の最中に指摘されるとああいう気持ちになるものです。 伝え方としても「最近、よくやってくれているよね。ありがとう。私はこういう風にすると、もっといいと思うんだけど、あなたはどう思う?」とあくまで自分を主語にすることです。家事のクオリティに関しては、正解は人それぞれです。そして、日本人の家事クオリティは高すぎる。高い方が正しいということではありません。 「あなたのやり方は間違っている!」ではなく、「私はこうしたい」と伝えましょう。 

見直しはして当然

 『見える化』したときの効能としては、あとで分担状況を見直しするときにも楽だ、というのがあります。 「こんな分担にしたけど、やっぱり私には回せない…」ということもありますからね。見積もりが甘かったというのはよくあることですし、状況が変われば(例えば仕事が忙しくなれば)できたこともできなくなることはあります。「決めたら絶対に崩さない!」とするのではなく、お互いのために柔軟に変更することが大切です。 こういうときに、二人で家事分担シートを見直し、実際どれくらいの時間がかかったか(大変だったか)をアップデートします。一度作っているものですから、更新するのは手間がほとんどかかりません。  

それでもダメなら……?

こうやって『見える化』をして分担しようとしても、相手がそもそも『見える化』に協力してくれない、家事は女のものとして分担してくれない、見直しを認めないなんてことがあるかもしれません。 これは実は『家事分担ができない』という問題ではないんですよね。あなたが不公平感を覚えていることが分かっているのに、それを放置し続けてよいということですから。要は、夫婦の信頼関係や協力関係が失われているわけです。『見える化』という小手先で解決できない、もっと根本的な問題です。 では、相手と自分の信頼関係が崩壊していたらどうするか。これはまた別の機会に考えましょう。今日は長くなりましたのでここまで!
※お子さんがいるご家庭は、「AERA」が公開している分担表を参考にして下さい。

Text/斗比主閲子