聞き手は否定せずに、じっと聞く
昭和のお父さんのように一家の大黒柱だと期待されていると(期待されていると信じていると)、仕事の愚痴や仕事が上手くいっていないことを家族に伝えにくくなるんですよね。家族に余計な不安を抱かせたくない、みたいな。
私は、このような考え方は取り越し苦労だと思っています。
実際は、大黒柱であっても常に盤石だというわけじゃないし、家族が何のためにいるかと言えば、みんなで支え合うものですから。
例えば、仕事が上手くいかないからと家族に言わずに辞めてしまうと、家族もどう支えたらいいか分かりません。「仕事がしんどくて辞めたい」と前もって言ってくれていたら対処のしようもある。
ただ、自分の弱いところをさらけだすのは怖いことなんですよね。「仕事がしんどくて辞めたい」と伝えて「家族がいるんだから甘えないで、頑張って続けてよ!」という反応も考えてしまうと、なかなか伝えにくい。
配偶者が自分に話をしてくれないことがあるときは、単にその話題が自分向けではないこともあるでしょうが、自分と話すのに安心感を持っていないことが原因なこともあります。これは、どちらかが悪いわけではなく関係性の問題です。
聞き手のスタンスとして、相手の話を否定せずに、耳を傾け続ける。
当たり前のことなんだけれど、お互いに話しやすい環境を作るためには大切なことですよね。
Text/斗比主閲子
初出:2017.10.25