相手が悪いんじゃなく自分に合わない

気をつけたいのは、変だと思うことを相手に何か問題があり、相手が改善しなければならないと糾弾することです。これは危険な行為です。違和感があるのは、あくまで、相手と自分の生活スタイルや価値観に違いがあるだけのこと。

夫が洋式便器で立って小便をするというのは、妻からすると耐え難い不愉快さがあるわけですが、夫にとっては飛び散って汚いとは思っていないかもしれない。

テレビを見ながら皮肉を言うのも、昔から続けている習慣かもしれない。それこそが当人にとってはテレビを見る楽しさかもしれない。

DVをする、借金癖がある、浮気を頻繁にする、セックスを結婚当初から何の理由もなく拒否し続けるみたいな、明らかな相手の過失を除けば、相手の嫌なことのほとんどは、当の本人にとっては自然な習慣になっていることが大半です。

あくまで「私が気になったこと」と自分視点で伝えた上で、「私に気になることはない?」と自分についても指摘してもらう。

ある意味、今後何度も発生するだろう夫婦の揉め事への予行演習と考えて、気軽に二人でガンガン指摘し合って、お互いに相手に聞く耳を持つ。相手が悪いんじゃなく、二人の共通課題として問題を捉える。

揉め事のタネは早めに潰す(発芽させない)のが肝心なので、後で不満を大爆発させるんじゃなく、問題を二人で摺り合わせる習慣を身に付けておくことが、共同生活を円滑にするためには有効だと私は考えています。

Text/斗比主閲子

初出:2018.02.28