世の中に「絶対」はあり得ない

自分の経験則や実体験が基になっている場合、本人たちはアドバイスのつもりでもつい決めつけた言い方になりやすいため、その心情を理解できなくもないのですが、だからといってその通りになるとは限らないのになぁ、といつも思います。
だって、世の中に絶対なんてことはあり得ないのですから。
不安を煽るようなことを面と向かって言われた経験があるのかどうかはわかりかねますが、たとえ直接的な呪いをかけられていなくても、まるで呪詛のような愚痴を聞かされたり身近にサンプルが多くあったりすると、「自分もそうなってしまうのかな?」と不安を抱かずにはいられなくなるでしょう。

以前、Twitterに「あなたたち夫婦がラブラブなのは子供がいなくて婚姻歴が短いから。10年経って子供もいるようになればそういう関係でいられないって言われてクッソ腹立った。マジで勝手に予言すんじゃねぇ! こちとら夫と出会って6年だが指数関数的に夫への愛はぶち上ってるわ!」みたいなことを書いたんです。そのとき、案の定「そんな風に旦那さんのこと好きでいられるのは今だけ」という呪いめいた意見もきたのですが、それ以上に「わかる! うちは結婚して20年になるけど今でも付き合い立てのようにラブラブ!」「妻とは高校生のときからずっと一緒だけど、今でもどんどん好きになってるなぁ」という肯定的な意見がたくさんきました。
不安を抱えているときほど、それを増幅させるような意見ばかり耳に入りがちです。でも、そうではない、むしろ肯定的な意見だってたしかに存在するのです。
だから、あなたが今不安に思っているような関係性になってしまう場合もあるけれど、決してそればかりではないということを、どうか知っておいてください。

「我に返る」「気づきを言葉にする」

正直なことを言ってしまえば、未来のことは誰にもわかりません。
先にも書いたように、わたしも「変な予言すんな! 呪いかけてくんな! 我が家は大丈夫なんだよ!」と思っていますし、夫とは長くいい関係でいられるように努力を怠っていないつもりではありますが、でもその予言通りにならないという確証はないわけです。
そのため偉そうなことを言える立場ではないのですが、だからといって努力しない理由にはならないので、わたしが実践していることをいくつかご紹介させていただきます。

まず、対外的なものを挙げると、「よそはよそ、うちはうち」の精神を忘れないこと。
もし、自分の結婚生活の話をしたときに「そんな風に言えるのも今だけだよ」と言われたり、「私もそういう時期あったけど、一時的なものだったんだなって気づいた」と言われたりしても、「あなたはそうだったんですね」と思うようにしています。これは相手を見下しているわけではなく、それこそ“人は人”の精神で区別をしています。
もちろん、「そうなんだ」と相槌は打ちますし、傾聴の姿勢は崩しませんが、あくまでも耳に入れているだけで頭には入れないことを徹底してます。
決めつけのような態度に腹が立つというのもありますが、精神状態がよくないときほど相手の意見に飲み込まれやすいので、そうならないための防衛策です。

次に、パートナーとの関係性で気をつけていることについて。
夫婦間で言葉を尽くす、関係をよりよくするために考えることをやめない、コミュニケーションを面倒くさがらない、感謝の気持ちを常に持ち続けて言葉にする、というのは大前提なのですが、それにプラスしてわたしたちは「ふと我に返る」というのを実践しています。
夫と、「え、待って待って、わたしたちラブラブすぎない……?」「やば……超仲良しじゃん……」「地球上に70億人も人類が存在してるのに両想いとか奇跡じゃん」「しかも? これが? 一生続くの? 幸せすぎなんだが……?」というやりとりをしょっちゅう繰り広げているんです。
一見バカバカしいようですが、これが結構有効なんですよ。自分が幸せであることを言葉にしそれを相手と共有することは、きっと言霊の力みたいなものが働いて、より幸せな気持ちになれる。そんな気がするのです。

そして、相手をよく観察して、そのときの気づきを逐一言葉にする。
相手が自分のためにしてくれたことに対して、最初のうちは新鮮で感動も大きいのですが、結婚生活が長くなるにつれてそれが当たり前になってきてしまう話をよく耳にします。そうならないようにひとつひとつ掬い上げることはとても大切で、これも先にお話しをした「我に返る」「言霊が働く」に通ずるものだと思います。
夫が何気なくしてくれたこと、たとえば重たいものを率先して持ってくれただとか、家に帰ると洗濯物を畳んでくれていたとか、そういう些細な思いやりに対して「あなたってほんとうに優しいよね」「そういうところ、ほんとうに素敵だと思う」と必ず言葉にしています。
きっと夫も大したことはしていない、当たり前のことをしたまでと思っているでしょうし、わたしもわざわざ夫の機嫌を取って上手くコントロールしてやろうという意図はまったくないのですが、それでも相手のいい部分を本人に伝えるのって結婚生活を営むうえで悪いことはひとつもないと思うのです。
きっと夫も思いやりが伝わった実感を得られるでしょうし、わたしも夫のやさしさを蔑ろにしないようにと身が引き締まりますから。