過ちや罪とどう向き合っているか
あなたが言うように、周囲にひとつも迷惑をかけずに生きてきた人なんていないと思うのです。
もちろんわたしもそう、これまでたくさん人に迷惑をかけてきました。
もう大人になりましたが、おそらくこれから先も、きっと誰かに迷惑をかけてしまうこともあると思います。
ただ、「迷惑」とひとえに言っても、いくつか種類はあるのではないでしょうか。
たとえば、自分の中で十分に考えたうえで行動を起こして、最後まで一生懸命頑張って、それでも力が及ばなくて、結果的に誰かに助けてもらったため、自分の中で「周りの人に迷惑をかけてしまった…」と思ってしまう場合とか。
でも、これに関して言えば、誰にだって起こり得ること。
もう二度と同じ轍は踏まない!という気持ちで、一度きちんと反省し、周りに感謝したのであれば、そのあとはお互い様での精神で、自分が助けられた経験からいつか誰かを助ける側にまわればいいと思うのです。
そして、幼さゆえ、考えの至らなさゆえに、善悪の区別がつかず、人を困らせてしまった場合。
これは、先に挙げたものとは少し捉え方が違いますよね。
しかし、こういった迷惑をかけたことはこれまでに一度もない、と言い切れる人はあまり多くはないのではないでしょうか。
“人の振り見て我が振り直せ”ではないですが、誰かの行いを客観的に見たり、逆の立場になったりと様々な経験をしていく中で、過去の自分の行動を省み、「どうして昔の自分はあんなことをしてしまったんだ……」と後悔をするものだと思います。
わたしも、ふと過去の自分を思い出して、あまりの愚かさに恥ずかしくなり、「う、うわぁ~~~~!!!」と顔を覆って叫び出しそうになるときがあります。
とてもじゃないけれど、恥ずかしくて恥ずかしくて人になんて話せやしません。
しかし、「あのときの自分はどうしてあんなことをしてしまったんだろう」と後悔に苛まれることなく、迷惑を迷惑とも思わず、大人になった今でも「よくないことをした」という自覚がないまま「若気の至りなんだよね~」と、さも武勇伝のように人に語ってしまう人の場合は、少し注意をしたほうがいいと思います。
では、彼の場合はどうでしょう。
あなたの相談文には「自分の過去を話すと引かれてしまうと彼が言っていた」と書かれていますから、少なくとも彼は“よくないこと”だという自覚はそれなりにあるのだと思います。
でも、それは「どうしてあんなことをしてしまったんだ……」という心からの反省と後悔なのか、それとも「まあ若気の至りだから今となっては笑い話なんだけど、きっとこういうのって世間一般的には許容されないことだからベラベラ話さないほうがいいんでしょう?」という世間の目を気にしての言葉なのか、どちらなのでしょうか?
笑いながら話しているくらいですから、おそらく後者のような気はするのですが……しかし、そうとも言い切れないんですよね。
もしかしたら、あなたに嫌われたくなくて、わざとおちゃらけて見せたのかもしれません。
まあ、その言動は誠実ではないのですが、彼の弱さを断罪してしまうのは少し残酷かもしれないですね。
あなたの言うように、彼が昔やった行動は、犯罪です。
金銭的な被害が出ていますし、もしかしたら怪我をした人もいるのかもしれません。
先にも書いたような、ふと思い出したときに恥ずかしさから「ウ、ウワァ~~~~~~!!!!」と顔を覆って足をバタバタさせる範疇を超えた内容だと思います。
途中で話を遮ったようなのでそれ以上は聞いていないのでしょうが、もしかしたらもっともっと耳をふさぎたくなるようなエピソードが出てくる可能性もありますよね。
それについて、詳しく聞くべきかどうかはあなたの自由ですが、わたしがあなたの立場だったら聞かないでしょう。
犯罪に軽いも重いもないですし、その内容によって、許す/許さない、気にする/気にしないと明確に判断できるわけでもありませんからね。
相談文にも書かれていますが、あなたが一番に気になっているのは、彼が何をしたのか、それがどういった内容のものだったのか、という詳細ではなく、彼が笑いながら話していたことですよね。
おそらく、そこに注目をしたほうがいいと思います。