ドライブデートの終わりに

この日は川越まで一緒に行き、デートを楽しんだのだが、「家の近くまで送って行ってあげる!」ということで、都内の僕の家まで彼女は送ってくれた。自宅近くにはほぼ車も人も通らない道があるのだが、ここで僕たちは会話の続きをした。仕事の話もするし、当時流行っていたドラマの話などもした。一瞬の沈黙の後、彼女は「ねぇ、キスしようよ」と言い、そこから1分ほどにも及ぶ長いディープキスをした。僕が彼女の胸を揉むと彼女は僕の陰茎をジーンズの上から触りだす。

そこからキスをしながら2人は同様の行為をするのだが、彼女はジーンズの腰の部分から手を入れ、完全に勃起している僕の陰茎を触り始め、上下に動かす。僕も彼女の首のあたりを舐めながら胸を揉み、続いて彼女のスカートの下から彼女の濡れた局部に左の中指を入れ、動かした。

互いに喘ぎ声をあげ、キスをしながらエロい時間をしばらく続けた。普段ここまで行ったのであればあとは「挿入」という話になるのだが、彼女は「ちょっと待って」と言い、僕を制止した。

「ちょっと待って。なんか、この先まで行ったらヤバいと思うの。ごめんね」

「もちろん、大丈夫ですよ。僕も、会ったことがない彼氏のことが頭のなかにチラつくのでなんだか罪悪感がありました」

最後に我々はディープキスを長時間し、別れた。ここから毎週土曜日は彼女とドライブデートをするようになるのだが、毎回こんな感じで1ヶ月ほどが過ぎた。

ついに彼女が覚悟を決めて…

そして冬が訪れた。12月の第1土曜日、彼女は僕を家まで送ってくれず、埼玉の繁華街の方に向かう。

「ねぇ、今日は泊まろうよ。いいでしょ?」

こちらとしては完全に望んでいた展開だし、25歳の男としては、とにかく毎日でもセックスをしたくてたまらないわけで、ついに彼女が彼氏への罪悪感を「なかったことにする」覚悟を決めたのを感じた。

ついにラブホテルに車で一緒に入り、この晩は5回セックスをした。翌朝、僕は始発の埼京線に乗って東京に帰ることを伝え、彼女は「今日はありがとね」と言い、2人して早朝の埼玉の街に車で出た。駅まで彼女は車で送ってくれた。

結局何が何やら分からぬまま、彼女とは毎週1回埼玉で会いつづけ、以後、2年にも及ぶ「間男」生活が開始するのだった。

今でも女性の気持ちがまったく分からないのが、「7年も付き合っていて結婚をする予定」である男性とは別の「間男」にここまでして何度も会うことだ。完全に僕など彼氏よりも年収は低いし社会的立場も低い。彼の写真を見せてもらったことは一度もないが、彼女ほどの美人であれば、相当なイケメンなのだろう。

2年後以降、彼女と会うことはなくなったが、結局自分は彼女にとってどんな存在だったのか? そして、2年後に結婚した9年付き合った彼(現・夫)に対して当時はどんな不満を持っていたのか? そこらへんをいつか聞いてみたいと思うのである。

Text/中川淳一郎