人生ずっと一本取られたすぎワロタ

――逆に、お二人自身の理想の“なりきりデート”ってありますか?

ポインティ

ちょうどこの前、一緒に会社やっているメンバーと理想のデートについて話をしてたんですよ。そしたら一人がすごく上官欲求を持っていて、まずは体育館を借りて、バレーボールのコートで彼女にサーブを打ってもらうんだって。

長井

レシーブ!レシーブ!

ポインティ

そう。レシーブして、彼女に「もう一本、お願いします!」って食らいつかれたいって(笑)。それを聞いて、そういうデートでもいいんだなって思った。それで僕が考えたのは、予想外なことが起きるデートです。

――具体的には?

ポインティ

二人で一か月前から楽しみにしてた映画を観に行き、予告が終わって、さあ始まるぞ!って時に、彼女からスタンガンをビビビ!と当てられるんです。「うわ〜〜今から観れると思ったのに、どこでスタンガン買ったんだろう」と思いながらだんだん意識が薄れて、目が覚めたらエンドロール……とかいいですよね。

一同

(笑)。

ポインティ

あと、よくわからないところを待ち合わせ場所に指定されて、不安になりながら行ったらエアガンで狙撃されるみたいな。そういう変則的なSMじゃないですけど、あらかじめ彼女に「俺、そういうのOKだから」って言っておいて、サプライズを仕掛けられたい欲はある。

長井

いやすごい、わかる。私はそれをやりたい側です。相手に対して、私は落ち着かせてあげないから!みたいな気持ちが強いんですよね。

ポインティ

なんでそういうモチベーションが浮かび上がってくるんですか?

長井

上官欲求に近いと思うんですけど、相手が困っているところを可愛いと思っちゃうんですよ。旦那さんは絶叫系がダメだからディズニーシーに行ったことがなかったんですけど、「これは博物館の中を見るだけの乗り物だよ」って伝えてから、一緒にタワーオブテラーに乗ったんです。そしたら超楽しくて(笑)。旦那さんは「えっ、なんで!? やば、えっ、えっ、うわぁ~!!!」って、叫んでました。

ポインティ

ひどいけどめちゃくちゃ面白そう!

長井

その様子が可愛くて可愛くて。

ポインティ

嘘ついたり嘘つかれたりするのいいよね。僕の友達が学生時代に、同級生といたずらをし合うためにお互い家の鍵を開けていたらしく。一時期は勝手に間取りを変えるいたずらが流行っていたみたいなんですけど、ある時ビデオデッキの中にアップルパイが。

一同

(笑)

ポインティ

取り出しボタンを押すと、アップルパイが出てくるんですよ。理由を聞いたら、四角いからって。それ聞いて惚れそうになりました。そっか、四角いからか~ってなるじゃないですか。相手のルールが垣間見えるというか。

長井

たまらんですね。

――そういう自分に刺さるポイントって、どうやったら気づけるんですか?見つけたいけど、気づいていない人もいると思うんですよね。

長井

それこそ、幼少期に体験したことの影響が強いと思います。私の場合は、小学生の時から友達をからかうのが好きだったんですよ。相手を出し抜いて、イライラさせたくてしょうがなかった。それが性癖として残っているんじゃないかな。

ポインティ

僕も小さい時、よく父親から嘘つかれてたからだと思います。両親がミネラルウォーターのevianを飲んでた時も、「すごく美味しい大人しか飲めないジュースだけど、特別に飲ませてあげる」って嘘つかれました。実際に飲んだ僕は「これ水みたいな味がする……」って神妙な顔をしてたみたいで(笑)。

長井

めっちゃ楽しい~!幼少期の体験が違ったら、真逆だったかもしれないですね。

ポインティ

僕からも仕掛けはするけど、それの上をいってほしいというか。人生ずっと一本取られたすぎワロタ、みたいな感じで生きてます。

相手に引かれるよりも自分を偽る方が怖い

――相手に引かれるのが怖くて、自分の欲求を伝えられないという人もいると思うんですが、そのハードルをどうやって乗り越えたらいいと思いますか?

ポインティ

僕は未スタンガン状態ですけどね。これからスタンガンです。

長井

(笑)。引かれるのが怖いって気持ちもすごく分かるんですけど、引かれるようなことが好きなのが自分じゃないですか。自分を偽った状態で居続ける方が怖いって気付けば大丈夫だと思います。

ポインティ

みんな伝えたらどうなるかをシミュレーションするから、怖いんだと思うんだけど、意外と同じ欲求を持っている人が地球上にはたくさんいると思う。むしろ表明した方が相性の合う人に出会える可能性が高まるんじゃないかな。

長井

こういう人、集まれ~!みたいな感覚ですかね。私にも言えない時期はあったんですけど、テレビの仕事でコンプレックスについて話す機会があって、勇気を出して「私は本当に性格が暗くて…」って言ったら、意外にも肯定してくれる人や面白がってくれる人が多かったんですよ。そこから少数派なのも悪くないなって思えるようになって、なんなら今では引かせたい気持ちが強くなっちゃってる。

ポインティ

僕もどこかにスタンガンを充電してる人がいたらいいなって思ってます。

長井

みんなそれぞれ、欲望を持ち歩いてるからね。パートナーが本当にしたいことを言えるようにするためにも、自分から恥をかきにいくつもりで先に切り出すといいんじゃないかな。

――例えば、持っている欲求が“汚いこと”や“悪いこと”だった場合はどうしたらいいと思います

ポインティ

自由なんですけど、自分の中にとどめておいてもいい欲望はあると思います。モノみたいに扱われたくても、大事な人にだけ言うのがいいですよね。。パートナーとしか共有できない欲望がある方がセクシーだし、イケてると思います。

――たしかに。むしろ、二人だけの秘密ができて仲が深まりそうですね。

ポインティ

昔、学生時代に付き合ってた彼女から「私は匂いフェチだから、家にくる時はなるべくお風呂に入らないでほしい」って言われたことがあって。向こうは替えのパンツを持っていて、三日間はき続けた僕のパンツと交換するんですよね。彼女はその匂いでオナニーするらしいんですけど、僕も最初はお風呂に入りたいなって思ってたんです。でも、だんだんその習慣が染みついちゃって。次の彼女の家にはじめて行った時、「二日風呂入ってないんだ!」って伝えたら、「は?今すぐ風呂に入れよ」って言われちゃって(笑)。

一同

(笑)。

ポインティ

ポインティ:ログイン情報が残ってて、そのまましちゃったんですよね〜。でも、好きな人からそういう欲求を打ち明けられたら、誰でもできるだけ対応したいなって思うんじゃないでしょうか。

TEXT/ 苫とり子
Photo/ なかむらしんたろう